最大のデメリットは電子書籍配信サービスの制限
電子書籍のデメリットは以下のような感じだ。- 端末ごとに利用できる配信サービスが限られる
- 現状はコンテンツがまだまだ少ない
- 紙のような質感がない
- 画面の解像度が低い
- 内蔵バッテリーの持ちによって利用時間に制限がある
- 著作権保護機能によってほかの端末に持ち出せない
例えばシャープ「GALAPAGOS」の場合、電子書籍ストアは「TSUTAYA GALAPAGOS」しか利用できない。TSUTAYA GALAPAGOSの収録コンテンツ数は2011年4月末時点で約2万6000冊程度で、現状ではまだ十分とは言えない。
ソニー「Reader」は「Reader Store」(同約1万5000冊程度)のほか、DRM(著作権保護)のかかっていないXMDF/epubファイルを購入・ダウンロードできる電子書籍ストアも利用できる。だがストアによって対応・非対応が異なるのが面倒だ。
新刊のほぼ100%がTSUTAYA GALAPAGOSやReader Storeで販売されるようになれば問題ないが、そうでなければこのような“縛り”は普及の足かせになってしまうだろう。
コンテンツストア「TSUTAYA GALAPAGOS」のWebサイト(http://galapagosstore.com/)。書籍だけでなく雑誌、新聞も扱っている
紙の本のような質感が薄い
紙と電子書籍端末のディスプレイとの違いをデメリットに感じられる人もいるだろう。書籍や雑誌は表紙の装丁や紙のクオリティなどにこだわっており、それが本好きの人たちには質感や「持つ喜び」として伝わっている。電子書籍ではそういった部分が無機質になってしまい、一つひとつの書籍が、悪く言えば「データの一つ」になってしまうのだ。「装丁も重要な要素だけど、それよりも文字や文章に込められた思いを大切にしたい」というコンテンツ主義の人にとっては、デメリットにはならないだろう。
バッテリーなど、電子書籍“ならでは”のデメリットもある
そのほかには、電子機器のためバッテリー駆動時間に限りがあることや、ディスプレイの解像度が決して高くないことなどが挙げられる。特に液晶端末の場合はバッテリー駆動時間が短くなりがちだ。電子ペーパー(電子インク)端末は画像を表示し続けるために電力が必要ない(一度表示すると電源を消しても表示し続けられる)ため、その点ではかなり有利だ。多くの電子書籍にDRM(著作権保護)がかけられていて、ほかの端末に持ち出せないというのもデメリットの一つだ。紙の書籍と違って、データとしてネットにアップされたら著作権者が大きな不利益を被ってしまうのは確かだ
。だが一方で、例えば「GALAPAGOSを使っていたけどReaderに乗り換えたい」といった場合に、欲しい電子書籍をまた買い直さなければならない。
マルチプラットフォームに対応する電子書籍ストアが整備され、そのサービスを通じてほかの端末にデータを移行できるようにしない限り、このデメリットは続くことだろう。