要介護認定の結果は、大きく3種類に分けられる
要介護認定の結果は「要介護」「要支援」「非該当(自立)」の3つに大きく分かれます
- 介護保険の対象にならない「非該当(自立)」
- 予防的な対策が必要な「要支援1~2」
- 介護が必要な「要介護1~5」
>要介護度状態区分の目安
要介護認定には有効期間があり、新規の場合は1年(要介護1で状態が不安定な場合は6カ月)、更新の場合は市町村によって1~3年となります。更新の手続きは有効期間が終わる60日前から可能です。有効期間内であっても、心身の状況が大きく変わったときなどには、いつでも要介護度の区分変更申請が行えます。
「非該当(自立)」と判定された場合に利用できるサービス
要介護認定で「非該当(自立)」と判定されると、介護保険のサービスを利用することはできません。本来なら要介護度が低いこと自体を喜びたいところですが、一緒に暮らす家族などが介護の負担や悩みを感じている場合は、市区町村に区分変更申請を行ったり、都道府県の介護保険審査会に対して認定結果の不服申し立てを行い、納得のいく認定を受けられるようにしましょう。
また、介護保険のサービスが受けられないとしても、市区町村が提供するサービスや民間サービスをうまく利用することで、介護の負荷を大きく減らすことができます。非該当(自立)と判定された場合でも、利用できるサービスについては、次のサイトで確認することができます。
>非該当(自立)と判定されたら
「要支援1~2」と判定された場合に利用できるサービス
要介護認定で「要支援1~2」と判定されると、予防給付を利用することができます。これは、介護状態がよりひどくならないことや症状の緩和や回復を目標としたものです。予防給付を受けるためには、地域包括支援センターで「介護予防ケアプラン(介護予防サービス計画)」を作成してもらう必要があります。
主なサービスは、次の通りです。正確には、すべてのサービス名の冒頭に「介護予防」という言葉が付きます。すべて1割負担(所得によって2割、3割負担の場合あり)で利用することが可能です。
1.訪問看護
看護師などが利用者宅を訪問して、療養上の世話や必要な診療の補助などを行ってくれます。
2.訪問入浴介護
看護師や介護職員が簡易浴槽を利用者宅に持ち込んで、入浴の介護を行ってくれます。
3.訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士などが利用者宅を訪問して、リハビリテーションを受けられます。
4.居宅療養管理指導
通院が困難なサービス利用者に対して、医師・歯科医師・薬剤師などが利用者宅を訪問し、心身の状況や環境などを把握しながら療養上の管理や指導を行ってくれます。
5.認知症対応型通所介護
認知症高齢者を対象として、デイサービスセンターなどにおいて日常生活上の世話や機能訓練を受けることができます。
6.小規模多機能型居宅介護
利用者の心身の状況や家族の事情が変わっても、住み慣れた地域で介護が受けられるよう、一つの拠点で通所介護(デイサービス)を中心に、訪問介護、ショートステイを組み合わせて提供を受けられます。
7.通所リハビリテーション(デイケア)
介護老人保健施設や医療機関などで、理学療法・作業療法などのリハビリテーションや、入浴、食事の提供などを日帰りで受けられます。
8.短期入所生活介護(ショートステイ)
介護老人福祉施設などに短期間入所して、入浴、排せつ、食事などの介護や、日常生活上の支援・世話、機能訓練などを受けられます。
9.短期入所療養介護(ショートステイ)
介護老人保健施設などに短期間入所して、看護、医学的管理のもとに介護および機能訓練、必要な医療や日常生活上の支援・世話などを受けられます。
10.特定施設入居者生活介護
有料老人ホーム、軽費老人ホーム、ケアハウスなどで、入浴、排せつ、食事などの介護や、その他の日常生活上の支援・世話、機能訓練および療養上の世話を受けられます。
11.福祉用具貸与
日常生活をサポートする福祉用具を借りられます。対象品目は、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、自動排泄処理装置(尿のみを吸引するタイプ)となります。
12.特定福祉用具販売
貸与になじまない入浴や排せつのための福祉用具の購入費の支給を受けられます。対象品目は、腰掛便座、入浴補助用具(入浴用介助ベルトを含む)、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分、自動排泄処理装置のカップやホースの部分となります。
13.住宅改修費
住み慣れた自宅での暮らしを可能とすることを目的として、日常生活の自立を助けたり、介護者の負担を軽くしたりするための住宅改修工事の費用の支給を受けられます。
14.認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症の高齢者が5~9人以下で共同生活をする住居で、入浴、排せつ、食事などの介護や、その他の日常生活上の支援・世話、機能訓練を受けられます。
※要支援2の場合のみ利用可能。
「要介護1~5」と判定された場合に利用できるサービス
要介護認定で「要介護1~5」と判定されると、介護給付を利用することができます。予防給付に比べ、さらに幅広いメニューが用意されています。介護給付を受けるためには、ケアマネジャーに「ケアプラン(介護サービス計画)」を作成してもらう必要があります。
前項で予防給付として紹介したサービスは、介護給付として同様のものを利用することができます。ここでは、介護給付でのみ利用できるものをご紹介します。すべて1割負担(所得によって2割、3割負担の場合あり)で利用することが可能です。
1.訪問介護
ホームヘルパーが家庭を訪問して、家事や調理、身体介護を行ってくれます。
2.通所介護(デイサービス)
通所介護施設(デイサービスセンター)にて、入浴、排せつ、食事などの介護や、その他の日常生活上の支援・世話、機能訓練などを日帰りで受けられます。
3.定期巡回・随時対応型訪問介護看護(定期巡回・随時対応サービス)
1日複数回の定期訪問による介護が受けられるほか、24時間365日対応可能な窓口が設けられ、電話などで連絡することによっていつでも訪問介護や訪問看護のサービスが受けられます。
4.看護小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護で提供される訪問介護、通所介護、ショートステイに加えて、訪問看護のサービスを受けることが可能です。
5.福祉用具貸与
日常生活をサポートする福祉用具を借りられます。対象品目は、予防給付で貸与を受けられる手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえに加え、車いす、車いす付属品、特殊寝台(介護用ベッドなど)、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具(エアーマットなど)、体位変換器(起き上がり補助用具を含む)、認知症老人徘徊感知機器(離床センサーを含む)、移動用リフト(つり具の部分を除く)(階段移動用リフトを含む)、自動排泄処理装置(尿と便の両方を吸引するタイプ)となります。
6.介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
常に介護が必要で在宅生活の困難な方が、日常生活上の世話、機能訓練、看護などのサービスを受けながら生活する施設を利用できます。
7.介護老人保健施設(老人保健施設)
病状が安定している方が在宅復帰できるように、リハビリテーションを中心とした施設で介護を受けられます。
8.介護療養型医療施設(療養病床など)
急性期の治療を終え、長期の療養を必要とする方のための医療施設を利用できます。
9.夜間対応型訪問介護
ホームヘルパーなどが定期的または必要に応じて夜間に訪問して、入浴、排せつ、食事などの介護や、その他の日常生活上の支援・世話を行ってくれます。
10.地域密着型特定施設入居者生活介護
定員29人以下の有料老人ホーム(軽費老人ホームを含む)の入所し、入浴、排せつ、食事などの介護や、日常生活上の支援・世話、機能訓練を受けられます。
11.地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
定員29人以下の小規模な介護老人福祉施設に入所し、入浴、排せつ、食事などの介護や、日常生活上の支援・世話、機能訓練を受けられます。
要介護度に応じた支給限度額
要介護度によって1カ月に利用できる介護保険のサービスの上限額は決められています。それを超えてサービスを利用すると、上限を超えた分は1割負担ではなく全額自己負担となってしまうので、ケアプランの作成を行う際には本当に必要なサービスは何かをよく見極めることが大切です。要介護度別の支給限度額は、次の通りです。
- 要支援1……支給限度額:50,320円/月、自己負担額:5,032円/月
- 要支援2……支給限度額:105,310円/月、自己負担額:10,531円/月
- 要介護1……支給限度額:167,650円/月、自己負担額:16,765円/月
- 要介護2……支給限度額:197,050円/月、自己負担額:19,705円 /月
- 要介護3……支給限度額:270,480円/月、自己負担額:27,048円/月
- 要介護4……支給限度額:309,380円/月、自己負担額:30,938円/月
- 要介護5……支給限度額:362,170円/月、自己負担額:36,217円/月