介護施設・老人ホーム/介護療養型医療施設・新型老健

介護療養型医療施設の設備・対象者・費用

病院やクリニックの敷地や建物内に設けられていることが多い「介護療養型医療施設」。「療養病床」とも呼ばれ、原則として要介護1以上の認定者を対象に、病気の急性期以降、慢性的な症状に対する療養を受けることができる施設です。費用の目安、入居対象者、部屋のタイプなどについて解説します。

横井 孝治

執筆者:横井 孝治

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介護療養型医療施設とは……病気の急性期を過ぎた高齢者が「療養」するための施設

介護療養を受けるシニアのイメージ

介護療養型医療施設では、医療・看護に重点を置いたサービスを受けることができます


介護療養型医療施設は、介護保険の施設サービスの1つとして定められているもので、一般的に「療養病床」という呼ばれることが多いです。

原則として要介護1以上の認定を受けている人が、病気の急性期の段階の治療が終わった後、慢性的な症状に対する療養を行うための施設で、医療・看護に重点を置いたサービスが受けられます。

病院やクリニックと同じ敷地や建物内に設けられていることが多く、一見しただけでは病院と変わらないものが大半です。

2018年、厚生労働省が発表した「介護サービス施設・事業所調査結果の概況」によると、介護療養型医療施設の数は約1,200となっています。
 

介護療養型医療施設は段階的に削減・廃止される

少しややこしいのですが、「療養病床」は「医療保険が適用される病床」と「介護保険が適用される病床」の2つに分けられます。正式には、 前者が「医療保険型療養病床(医療療養病床)」、後者が「介護療養型医療施設(介護療養病床)」です。

2006年、厚生労働省は、医療や看護をほとんど必要としない入所者が約半数を占めていること、2つの療養病床の機能が似ていることなどを理由に、当時12万床もの介護療養型医療施設を2011年度末までに全廃する方針を発表しました。

これに伴い、現在の介護療養型医療施設は、新型老健とも呼ばれる「介護療養型老人保健施設」や、医療療養病床へ転換されることになりました。しかし厚生労働省の計画通りには転換が進まず、全廃が先送りされることになりました。2019年現在では、2023年度末までに全廃という方針となっています。また介護療養型医療施設の新設も認められていません。

現在入所している人はもちろんですが、これから入所を考えている人は「医療難民」にならないよう、十分な情報収集を心がけてください。
 

充実した医療的ケアを受けることができる

介護療養型医療施設は、その名の通り「医療施設」なので、医療面のサービスはすべての介護施設・老人ホームのなかで最も充実しています。

痰の吸引や水分や栄養をチューブで胃に入れる胃ろう、じょくそう(床ずれ)、鼻などから流動食を投与する経管栄養、尿管カテーテル、酸素吸入といった医療措置が必要な人でも問題なく入居が可能で、現実的にはターミナルケアや看取りの場となることも少なくありません。

また、認知症に対応した介護療養型医療施設なら、在宅での生活が困難な認知症患者でも入所することが可能です。
 

介護療養型医療施設の部屋ごとの金額……相部屋が主流だが予算によっては個室も

介護療養型医療施設では、4人程度の相部屋が主流です。プライバシーが保てる個室(ユニットケア)を増やそうという取り組みも進んでいますが、まだまだ普及していません。

相部屋の場合、1カ月あたりの費用は9~17万円程度。ユニットケア型の場合は、25万円を超えるケースも少なくありません。
 

介護療養型医療施設の対象者・費用・申込先

■対象者
要介護1以上だが、実際には重度の人優先で、脳血管性疾患、心臓疾患、がんなどの病気があり、医療措置が必要な人が主な対象となる。

■必要な費用
介護保険施設サービス費の1~3割(所得による)、特定診療費の1割、居住費、食費、その他雑費。

■情報入手&申込先
どんな施設があるかについては、地域包括支援センターまたは市区町村の福祉担当窓口へ。申し込みは直接施設へ。
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