老いてなお渡世人?!



特別養護老人ホームと違って入居しやすい老人保健施設。預かってもらって安心していたのもつかのま、思わぬ展開が――。あなたの周りでこんなことは起きていませんか?2つの事例をもとに対処法を考えてみましょう。







事例1
介護保険制度がスタートするまで、3年間、自宅で母親の芳子さん(仮名)を介護していたという石島紀子さん(仮名)。
しかし、もともと親子関係がうまくいっていなかったことに加え、体が弱く、介護は精神的にも肉体的にも大きな負担だったといいます。
そのうち、自営業を営む夫が、事業を縮小し人手を減らしたことで、自らも働かねばならなくなりました。
しかたなく、芳子さんは老人保健施設へ。2年半ほどそこで過ごしましたが、やがて退所してほしい、と施設の人に告げられました。そこで別の老人保健施設へ移りましたが、そこでは半年間しか滞在できないそう。
「今、特養に申し込みをしていますが、だめならまた老健に入所するしかありません。あまり転々と居場所を変えると、母にも負担がかかるのでは――。かなり心身が弱っているだけに、不安です」



事例2
80歳を過ぎても出歩き好き。近所でも評判の元気印おばあちゃんだった、大野マツ江さん(仮名)。娘さんの節子さんとは長いこと二人暮しを続けてきました。
しかし突然、大腸ガンを発症し、入院。手術は成功したものの、病室暮らしが長引いたために、足腰は見る影もなく弱ってしまいました。
勤めに出ている節子さんには、退院後、寝たきり状態のマツ江さんを介護することができません。仕方なく老人保健施設へ入所し、リハビリをしてもらうことにしました。
ところが、実際にはリハビリは行われず、マツ江さんはますます寝たきりの状態に。自宅にいたときはどうにか自力でトイレに行っていたのですが、それもできなくなり、おむつをあてられるようになったのです。
1年後、体調を崩した挙句、再び入院。マツ江さんはとうとうそのまま、自宅に戻ることなく亡くなってしまいました。



老人保健施設は、看護、医療的管理下において機能訓練や日常的ケアを行う施設。特別養護老人ホームが終生利用できるのに比べ、あくまで一時的な入所を前提としています。入所期間は通例、3~6ヶ月。厚生労働省の調査では平均229.2日とされています。しかし、利用者の家族側は、もっと長い滞在を希望する場合が多いよう


「入院が長引いたりすると、その間にお年寄り抜きの生活パターンができあがってしまいがち。例えば、一家の主婦が介護から解放されたというので、パートに出かけたりするわけです。なかなか在宅では世話ができないので、特養が空くまで預かって欲しいと考える家族は少なくないのでは」(ケアマネージャーAさん)。その結果、ひとつの老健を退所すると、今度は別の老健へ移るお年寄りも多く、いわゆる「たらいまわし」現象が起こりがちです。


その一方で、これら特養待ちの利用者のため、長期滞在を容認する老健もあります。こうした施設ではリハビリよりもケアに重点がおかれる傾向が。いずれ在宅介護を、と考えているにも関わらず、あまりリハビリがなされないまま結局、施設に居ついてしまうケースもあります。