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10年経って、やっぱりドリキャスは凄かったと思う(3ページ目)

かつて、ドリームキャストというハードがありました。当時としては珍しい、インターネット接続機能を標準装備し、数々の名作を生んだセガの社運をかけたゲームハードです。あれから10年が経ちました。ドリームキャストの偉大なチャレンジについて、ちょっと思い出話をしたいと思います。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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10年早いんだよ!

ドリームキャストの図

儚く散る運命にありながら、次の時代に続くゲームの礎を築いたハードでした。(イラスト 橋本モチチ)

「10年早いんだよ!」は、セガの看板タイトルの1つであるバーチャファイターシリーズの主人公、アキラが勝利した時の決めゼリフですが、ドリームキャストというハードは、そんなセリフがピッタリくるハードだったように思います。

オンラインゲームにしても、今やっと多くのゲームがオンライン対応になり、徐々にオンラインゲームを体験するユーザーが増えてきているような状況です。しかしドリームキャストがオンラインゲームに積極的に取り組んだのは10年前。まさに、10年早かったんですね。

ドリームキャストの代表作の1つに、シェンムーというゲームがあります。ゲームの舞台となる街を徹底的に作り込み、そこに住む人を作り込み、主人公がその世界を自由に探索できるアドベンチャーです。ストーリーと何の関係のない建物にも入れ、そこに住む人がいて、こちらがアクションを起こせば、反応を返してくる。これは今でこそポピュラーになった、グランド・セフト・オート(以下GTA)シリーズなどに代表される、いわゆるオープンワールド、箱庭型などと呼ばれるスタイルの走りだったと言えるかもしれません。

しかし、当時そんなゲームはありませんでした。GTAシリーズがGTA3で3D空間のオープンワールドにシフトするよりも前、まだ、オープンワールドなんて言葉すら誰も使っていないようなタイミングで、セガは70億円と言われる莫大な開発費を投じ、シェンムーを完成させていました。当然、ゲームユーザーはプレイしてビックリします。一体どこまで作ってあるんだ、こんなゲームは見たこと無い、と。当時のことですから、荒削りな部分も多くありましたがそれでも、新しいゲーム体験はプレイヤーを夢中にしてくれました。

ドリームキャストの人気は、PS2には遠く及びませんでしたが、一部のゲームユーザーからは大変に愛されていました。それはある意味、当たり前のことです。何しろ、10年早かったんですから。

10年も先取りしてしまったら、大多数のユーザーはついてきません。各家庭のオンライン環境そのものがまだ十分でない時代なのに、いきなりオンラインでゲームをしようと言われてもポカーンです。シェンムーというゲームはストーリー進行に関係ない部分まで作り込んでるなんて言われても、何のためにそんなことをやっているのか、チンプンカンプンです。しかし、あ、これ未来だ、ソニックアドベンチャーのキャッチコピーの未来基準ってこれなんだと、本気でそう信じたゲームユーザーも、わずかですがいたんですね。PSOに興奮し、ビジュアルメモリに期待し、シェンムーに驚かされ、その名に相応しい夢のマシンだと喜びました。

ガイドも、そんなゲームユーザーの1人でした。あれから10年が経って、ゲーム業界の仕事をするようになりました。ふと今の業界を見渡し、当時を振り返ってみることがあります。かの愛すべきハードは、時代の先をいきすぎていたのかもしれません。でも、描いた夢の軌跡は、間違いなく今に繋がっています。ドリームキャストはゲーム業界を次の時代に導いた偉大なハードだったと、そう感じずにはいられないのです。

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