買い占めも八つ当たりも「防衛」!?
電波状況が不安定でも誰かと話さずにはいられない
たとえば、パニックとも見られるほどの極端な食料品や日用品の買い占め行動は、「今買わなければ!」という購買欲と、それに伴う買い物行動に一時的に熱中することで、過剰な不安から逃避しようとする一種の防衛機制なのではないかと考えられます。
また、芸能人がブログで書いた震災への発言や、首都圏から居を移した人々の行動に怒りをあらわにした言動は、誰かを攻撃(八つ当たり)することで緊張を緩和させようとする防衛機制であると考えられますし、また、震災を免れ不自由なく生活していることへの自責の念や罪悪感は、攻撃を自分自身へ向ける欲求不満反応であるとも考えられます。
では、電話やメール、ツイッターなどを通じて、不安な気持ちをしゃべり続ける行動は、どうでしょう? 「誰かとつながっていたい」と、途端に子どもっぽい甘えが生じ、何かに依存していたくなる退行的な防衛機制であるとも考えられます。
情報収集やボランティアにのめり込むのはなぜ?
震災情報から朝まで目が離せなくなるのはなぜ?
たとえば、震災情報から朝まで目が離さず、また寝食を忘れて情報を発信するような行動は、実は「今やるべきこと」から避けるために、震災情報にのめりこむという、知性化の防衛機制が働いているのかもしれません。
また、募金活動やボランティアに夢中になる行為は、現状に満足していない自分自身を、別の望ましい行動によって補償しようとする防衛機制による行動なのかもしれません。
知性化や補償のような防衛機制は、肯定的に働くことによって、自分自身の新たな生かし方を見つけられることもあり、合理的な結果へと結びつくこともあります。
心身の健康、行動のバランスが大切
連日の報道で想像を絶する震災の現実を目の当たりにし、さらに余震や停電、放射能災害などによって不安が掻き立てられるような日々が連日のように続いたため、多くの人にこうした防衛機制が働いたのも自然な現象だと思います。しかし、防衛機制による反応が行きすぎてしまうと、個人の行動のバランスを崩し、また物資の不足や経済の混乱といった、社会的な問題にも結び付いてしまいます。また、震災のストレスによって、自らの健康を害してしまっては元も子もありません。
したがって、極端な行動変化やつらい症状に気づいたときには、他のリラクゼーション方法(たとえば呼吸法、アロマセラピー、音楽など)も取り入れたり、意識的にしっかり休養をとったりすることで緊張を解消させることも大切です。