カーメンテナンス/車のトラブル

冠水車を動かすときに注意したい事

今回の東日本大震災では、津波などの被害により多くのクルマが冠水の被害に遭っています。今後、燃料の供給が復旧するにつれて、そうしたクルマを動かす必要も出てくるかもしれませんが、冠水車を動かす場合は特別な注意が必要です。

執筆者:宮島 小次郎

冠水車は配線などのショートによる出火の危険が!
 

今回の東日本大震災の大きな特徴として、津波による被害が挙げられます。それによって、人的な被害も相当なものとなりましたが、ニュースなどの映像では多くのクルマが流されていたのが目に付きました。正確な数は不明ですが、冠水などによる被災車両の数は10万台以上に上るとも予想されています。

今後、ガソリンの供給が復旧してくるとともに、それらのクルマを動かせないか、と考える人も出てくると思われますが、冠水したクルマを動かすときには特別な注意が必要になってきます。特に気をつけるべきは、電気系統のショートによる発火や火災です。

バッテリー

エンジンを切った状態でも、バッテリーからは常に電流が流れているため、配線のショートなどによる出火の危険性がある

クルマの配線やカプラーの接続部などに水が付着すると、そこから電気がリークすることが考えられます。特に塩分を含んだ海水は、真水よりも電気を通しやすい上に、塩分によって配線などが腐食しやすくなるため、よりリークを起こしやすい状態となります。そのため、エンジンが掛からないものかと、いきなりキーを回してエンジンをスタートさせるのは危険です。

まずはボンネットを開けて、エンジンルームのどのあたりまで冠水したのかを確認するとともに、海水がエンジンルームに残っていないかを確認します。エンジン本体や室内が水につかった形跡がある場合は、ショートの危険性があるため、エンジンの始動は断念すべきです。念のためバッテリーのマイナスターミナルを外した上で、ロードサービスなどを依頼して下さい。

エンジンルームに浸水した形跡がない場合も、クルマの外観などを含め、異常がないかを慎重に確認します。車種や状態にもよりますが、タイヤの半分よりも上あたりまで冠水しているようですと、エンジンの再始動は難しいかもしれません。見た目には冠水した形跡がないため、エンジン始動を試みる場合は、スターターを回すときにはできればもう一人の補助者などにエンジンルームから煙が出るなどの異常が見られないか、確認してもらいながら作業するといいでしょう。

マニュアル車の場合は、床下程度の冠水でもそのまま放置してしまうと、クラッチが張り付くトラブルが発生する可能性があります。いくらクラッチを踏んでも、ギアが入らないという場合は、クラッチを踏む離すという動作を根気よく続けると振動で張り付いていたクラッチが剥がれることがあります。それでも直らない場合は……、やはりロードサービスに依頼するのが確実です。

また、ハイブリッド車や電気自動車では、通常のクルマに比べてはるかに大きな電流を扱っているため危険ですので、絶対に近づかないようにしてください。その他、日本自動車工業会によるこちらのサイトも参考になると思います。

次のページでは、車両保険の適応について紹介します。

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