修理を通じて、履き易い靴に再生する!
新宿・池袋と並ぶ東京の副都心の一つ、渋谷。埼京線&湘南新宿ラインや東急東横線の新駅の配置との兼ね合いで、そう呼ばれるエリアが昨今確実に広がっているのが他の2か所にはない特徴で、特に隣の恵比寿駅付近までの明治通り沿いは、21世紀に入って以降オフィス街化が急速に進む注目すべき地域です。今回はそんな大躍進中のエリアに店舗を構える靴のリペアショップ、ケーニッヒ デア マイスター(König der Meister)をご紹介します。ちなみにこのお店、何を隠そう我らがオールアバウトの本社の目の前!渋谷や恵比寿のみならず、外資系企業の幹部駐在員が多く暮らす広尾や、お洒落な店舗が軒を連ねる代官山にも近いこのお店は、その分お客様も多彩! 近隣のオフィスで働く方はもちろん、ファッション業界の関係者や、理由は後述しますが代表の出原さんが語学に堪能なこともあって、外国の方も頻繁に訪れるようです。取材の際中にも非常にお洒落な女性の方やスタイリストと思しき人が注文や完成品の受け取りに頻繁に出入りしているのが印象に残りましたが、中には履く本人ではなく秘書や運転手の方がいらっしゃるケースもあるとか。
実は出原さんは、お父様の仕事の関係でドイツのデュッセルドルフで生まれ、10代前半も彼の地で暮らしていた国際派。ドイツ語で「職人の王様」を意味するこの店名は、その地で実際に経験した靴事情、すなわち靴職人特に医学的に正しい靴を作成・提供できる国家資格を持つ職人が、医者と対等の立場で各々の事例に対処できる体制に敬意を込めて名付けたものなのです。出原さん自身も国内の学校で、靴の製造と共に解剖学を積極的に学んだ経験を持つだけに、このお店では単に仕上げの美しさだけでなく、「今まで以上に履き易い靴にする」が修理における太い軸になっています。
具体的には、修理を承る際には靴の原型になるべく近づける修理方法と共に、個々のお客様の履きグセを察知した上で「歩き易くなる修理方法」や「使い勝手の良くなる修理方法」も合わせて提示し、それらの中からいずれかを選択していただけるよう心掛けているとのこと。文章にすると簡単に思えますが、実は、足の構造的要素の他にそれぞれの修理部材が有する特性、そして欠点までも知り尽くしてないとできない接客です。この店を開く前に何万足もの靴修理をみっちり経験して来た出原さんだからこそ可能な、合理的かつ親身な方針と言えるでしょう。
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