フレンチ/東京のビストロ

夜食屋275(白金)(3ページ目)

詰めて8人がひとつのテーブルを囲むという、恐らく日本で初めてのビストロに違いない。開店資金が275万円だっというこの小さな空間はすでに大きな価値を産んでいるかも知れない。これぞフランス料理界のリアルSNSと言ってもいいだろう。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

また行きたくなる店

料理人の力量を測るなら、オニオングラタンスープとパテ・ド・カンパーニュを食べてみることだと言う。パテはおひとりさまにはかなりの厚さになるので半分でどうかと気を利かせてくれたのでそれに従う。ちなみに値段も半分。
パテ

ビストロの定番と言えばパテ!

非常にオーソドックスな味わいだ。粗引きの胡椒とマスタードが添えられるが、それがないとアクセントがつかないという意味ではやや物足りなさが残る。個性がないといったらそれまでだが、パテだけで判断するのはナンセンスでもある。

オニオングラタンスープは基本に忠実な仕込みのもと、平坦なココットで温められて運ばれる。塩加減のバランスがよく、飽きのこない味わいとともにこの小さな空間にするするとはまり込んでいく。
オニオングラタンスープ

寒い冬にはオニグラスープが欠かせない

料理人はシェフ一人のようだが、その割にはメニューもそこそこ多い。きっと昼前からずっと仕込みに取り組み、夜のみの営業に備えているに違いない。その日はもうひとり料理人がいたが時折ヘルプが来ているようだ。

途中からマダムらしき方がお運びに登場するが、センスのいい恰好のいい方。ちなみにシェフは俳優の近江谷太朗氏に似た風貌だ。白金のイメージを損なわない、いや引き立たせるお二人ではないだろうか。

大きなテーブルを目指してやってくるお客、そして個性的な店のご夫婦、静かに、そして賑やかに白金の夜は更けていく。
テーブル

テーブルは8人掛けひとつのみ

小さい店だが、ぜひその空気感を感ずるに値する店であることだけは間違いないだろう。たまたま友人が向かいに住んでおり、近いうちにまた行ってみることになりそうだ。ただし予約が取れればの話だが。

夜食屋275
東京都港区白金5-13-6 
03-3447-5352
19:00~27:00 不定休
予算は飲んで食べてひとり5000円~6000円程度。

行かれるときは必ず電話をすることをお薦めしたい。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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