中古住宅・中古一戸建て/中古住宅の購入術

新築と中古住宅 決めた理由と選ばなかった理由(2ページ目)

国土交通省の「住宅市場動向調査」から新築住宅を購入した人と、中古住宅を購入した人のデータを比べてみると、それぞれの特徴が見えてきました。今回は、新築と中古住宅購入者の相違点にスポットを当ててみたいと思います。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

中古住宅の最大の魅力は安さ

新築住宅を買った人、中古住宅を買った人それぞれに「なぜ、その家に決めたのか」と聞いてみると、「住宅の立地条件がよかったから」と答えている人がともに6割前後にのぼっています。このデータから、注文住宅を建てるのではなく、家を買う場合は、「立地条件」が非常に重要視されることがわかります。

さらに、中古住宅を選んだ人になぜ中古住宅にしようと考えたのか、その理由を聞いてみると
第1位 予算的に手ごろだった 79.9%
第2位 新築にこだわらなかった 42.3%
第3位 リフォームで快適に住める 38.4%
第4位 間取りや設備・広さが気に入った 29.2%
第5位 住みたい地域に適当な新築がなかった 22.2%

以上の結果から、中古住宅購入者は、価格の安さに魅かれており、4割以上の人が積極的に中古住宅を選択しているとわかりました。そして、購入後リフォームしようと計画している人も3割以上。手を加えれば品質向上も望めると考えている人が多いようです。

一方で、新築住宅を購入した人に、中古住宅を選ばなかった理由を聞いてみると、
第1位 新築にこだわったから 74.8%
第2位 隠れた不具合が心配だった 38.5%
第3位 リフォーム費用など割高になる 37.6%
第4位 耐震性や断熱性などの品質が低そう 3672%
第5位 給排水管などの設備の老朽化を懸念 35.8%

以上のように、新築住宅を買った人には、中古住宅の性能や品質に疑問や不安を抱いている人が多く、最初から新築だけを検討していた様子が伺えます。

興味深いのは、リフォームについての考え方の違いです。中古住宅を買った層は不満な部分はリフォームで補えると考え、新築住宅を買った層は多額のリフォーム費用がかかるなら、リフォーム不要の新築のほうがいいと、逆の考え方をしています。

半数が築16年以内の中古物件を購入

中古住宅を買った人たちの家は、どのくらい古い住宅なのか、築年数を聞いてみると
16年以内      52.1%
17~26年以内    19.0%
27~36年以内    15.5%
37~46年以内    9.2%
47~56年以内    1.1%

工事中

築年数だけで判断せず、性能のよい中古住宅を探し出したいものです

平成21年度の調査では、築57年以上の物件を購入した人はいませんでした。半数以上が築20年に満たない家を購入しているのは、ローン減税と関係があるでしょう。木造の場合、一定の耐震基準を満たしていても、築20年以内(耐火建築物の場合は築25年以内)であることが減税を受けられる条件のひとつになっているからです。

中古住宅を買うなら性能に要注意

このようにデータを見てくると、中古住宅を購入した人が新築より手ごろな価格の物件を手に入れ、住宅ローンの返済期間や毎月の返済額など、負担を軽くしているように見受けられます。そういう意味では、新築住宅購入者より、堅実で、購入後の生活を重視していると判断することもできます。

ただ、気になるのは、築16年以内の住宅を購入している人が半分以上いること。築年数にもよりますが、耐震性や断熱性などの性能がどの程度の物件を購入しているのか、不安になります。できれば、購入前に住宅診断を依頼するとか、既存住宅用の住宅性能表示制度を利用するなどして、良質な中古住宅を求めるようにしてはいかがでしょうか。
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