不景気が続く中、多くの企業では、これまで以上のコスト削減が求められています。意外と手がつけられていないのがITに関するコスト。経営層がよく分からないこともあり、あまり検討されていません。どういう視点でコスト削減を考えればよいかみてみましょう。

部分最適と全体最適を考える

部分最適を積み上げても全体最適にならないことがでてきた

部分最適を積み上げても全体最適にならないことがでてきた

英語にもなっている「カイゼン」。日本人は創意工夫で技術立国を作りあげてきました。大量生産、大量消費の時代はこのモデルが大成功。各部門でムリ・ムダ・ムラをなくす部分最適を行うことで、全体最適を実現してきました。

ところが人口減社会となり部分最適を積み上げても、全体最適にならないことがでてきました。例えば仕入れて売る商いを行っている場合、10個仕入れるより100個仕入れる方が1個当りの単価が安くなります。ただし営業ががんばっても50個しか売れなければ、仕入れた残りの50個は不良在庫になってしまい全体で見ると大損。仕入部門の部分最適が全体最適に結びつきません。

単純に考えるとおかしなことが分かりますが、扱っている商材が1万点もあり仕入、営業、経理、開発、総務など様々な部門があればどうでしょうか。社員の立場では、自分の業務を一生懸命やることが求められるため部分最適になりがちです。管理者が社員の動きを見て、会社全体の利益が最大化するようコントロールしなければなりません。ただし言うは易く行なうは難し。東大を卒業した優秀な人材が官僚となり全体最適が必要なことがわかっていながら、国全体の利益よりも省益を優先。部門をつぶそうとすると、看板を変え復活したり焼け太りする例をみても全体最適が難しいことがよく分かります。

もっと単純な例でいくとオフィスにあるゴミ箱。各自の机横にあった方が便利ですが、オフィス全体のスペースを考えて大きなゴミ箱を1つ用意し、ゴミを入れるよう社員に提案すると不便だという声が必ずあがります。その声が部分最適と同じだということに本人も気がついていません。

時間はかかりますが、全体最適を考えられる人間を育成しなければなりません。様々な部門を経験できるようローテーションし、自部門の動きが他部門にどう関係するのか理解できるようにします。木も見て森も見る人材を育成します。

1.ITで全体最適を考える

気がついたら会社のいたるところにサーバーやプリンターが林立

気がついたら会社のいたるところにサーバーやプリンターが林立

全体最適を考えないといけない点はITでも同じ。各部門で予算化しIT導入すると、気がついたら会社のいたるところにサーバーやプリンターが林立します。オフィスにあるゴミ箱と同じです。

IT導入、運用管理に関わる費用をあらわす指標にTCO(Total Cost of Ownership)があり、部門でTCOを管理すると10個仕入れるよりも100個仕入れる部分最適になりがちです。もちろん勘定科目として全体コストは把握できる一方で、各部門の費用を単純に足した数字となるためムダが分からず削減になりません。TCOの管理は全体を見渡す部門、例えば総務部門が行うべきです。

では具体的にどうTCOを管理したらよいのでしょうか。各部門にどんな情報機器が導入されているか台帳を作ります。機器の導入年月日、リースならリースアップ年月日、OSやソフトのバージョン、ウイルス対策ソフトの期限日などを台帳にまとめます。次にライセンス料や運用管理費がいくらかかっているか、面倒をみる社員・人件費も含めて計算します。