芸大出身、広告制作会社勤務後、
日本酒居酒屋に転身、異色の女将

「みを木」入り口

垂れ幕と酒瓶が並んでいるので一目瞭然のエントランス。右下の黒板にお品書きがぎっしり

JR有楽町にほど近い銀座2丁目の横丁に、良質の純米酒を旨いつまみとともに出してくれるこぎれいな店ができた。店名は「佳肴 みを木(かこう みをぎ)」。船が安全に走行できるように立てられた目印「澪標(みをつくし)」から名づけられている。いい名前だ。

 

ひこ孫樽

入り口には神亀酒造ひこ孫の樽が。コレだけでいい酒を扱っていることがわかる

オーナーで女将は、渡辺愛さん。東京芸術大学を卒業後、広告制作会社を経て、日本酒飲食業に転身。「神田新八」、「神田神八新丸ビル店」に勤務後独立したという経歴の持ち主だ。

 

女将

セミナーのコンセプトを説明する女将。純米酒に対する愛が伝わる。お名前も「愛」さん

先日ここで行われた「基本の調味料と日本酒を合わせる体験セミナー」に参加した。体験した料理と酒の銘柄(さらに、私の体験感想)は、以下のとおり。

 

カウンター

この日の酒がずらり並ぶ。壮観。

お燗酒と酒をおいしくするつまみの組み合わせに、身も心もとろとろです。

 

牡蠣限定

天遊林の「牡蠣限定」は、さすがに生牡蠣の相性ベストマッチ。酸度2.3だ

■生牡蠣(気仙沼産)に合うお酒は?
「天遊林 牡蠣限定」(酸度が2.3)
「天遊林 冬純」(発泡清酒)
「奥播磨 生もと純米 誠保」
「王録 出雲麹屋」(にごり)

※酸味が際立つ天遊林の「牡蠣限定」がぴったり。生臭さを消し牡蠣の旨味を引き立ててくれる。さすが牡蠣限定というネーミングだけある。驚き。

 

小鳥のさえずり

神亀の「小鳥のさえずり」は、比較的優しい味わい

■出汁(かつを出汁と天蕪の煮物)と合わせる
「神亀 小鳥のさえずり」

神亀はボディのある酒だと思っていたが、繊細な出汁ともよく合う。蕪がクリーミーになる。こういった汁物を合わせられるのは日本酒以外にはない。

 

ひこ孫

繊細な貝料理もおいしい

■醤油味(まぐろの漬け・平貝の醤油焼き)と合わせる
「喜久酔 特別純米」
「神亀 ひこ孫 純米吟醸(7号酵母)」
「天遊林 特別純米 瓶囲い」

※喜久酔のバランスのよさに感激。漬けの旨味、ねっとり感とよく合う。7号酵母は華やかさがあり、貝にはやや勝ち気味か。

 

長珍

名前にも金箔ラベルがインパクトあり

■味噌味(味噌汁、みゆき豚ネギみそ焼き)と合わせる
「神亀 ひこ孫 純米吟醸(9号酵母)」
「長珍 特別純米」

※愛知の酒「長珍」は味噌と合わせて飲むべき酒。酒と味噌の味わいのバランスがとれ、どちらも美味。

 

豚ネギ味噌

豚の溝漬け。ひこ孫もいい。味わいの濃さのバランスとれている

神亀9号酵母は、7号よりやや落ち着きがある印象。味噌味もいいが豚そのものともよく合う。お燗の具合も絶妙。 

 

ひこ孫2種

純米吟醸ひこ孫には、実は2種類あった…

■酢・ポン酢(なまこ酢・豚しゃぶポン酢)と合わせる
「神亀 純米辛口」

※豚しゃぶのポン酢がおいしい! この店、料理がとてもおいしい! 酢酸と合う酒も日本酒以外にはないのだ。
 

 

コロッケ

揚げ物に日本酒はつらいと思っていたが……

■ソース味(カキフライ・コロッケ&中濃ソース・ウスターソース)と合わせる
「諏訪泉 特別純米 ゆったり」
「神亀 ひこ孫 特別純米」

※酒は熱めのお燗で。揚げ物の脂分をスキッと切ってくれる感じ。

 

蓬莱

勢いのある和文字のラベル。風格が漂う

■食事(梅ちりめんの焼きおにぎり)
「蓬莱 特別純米」

※ご飯にもお酒! 梅味は酒に合うし、焼いた香ばしさもつまみ感覚で楽しめる。

 

大吟醸

ひこ孫大吟醸。興奮して写真がぶれた……

■砂糖=甘味(黒豆・ミニ鯛焼き)と合わせる
「神亀 ひこ孫 大吟醸」

※甘味と日本酒は実はとても合う。特に黒豆などお節に入っているような甘味類や和スイーツは本当によく合う。この大吟醸は、めったに飲めない逸品。感激。




以上がこの日の体験内容だが、通常メニューには、お造りや焼き物、煮物、酢の物など酒に合う料理が並ぶ。「埼玉の気合豆腐」や「クリームチーズの神亀酒粕漬け」など気になるつまみも揃っている。お酒を含めたおまかせ料理で6500円が目安のようだ。女将のおすすめに身をゆだねるのもきっと楽しいだろう。

なにしろ、純米酒とお燗酒に思い入れを持つ女将の店だけに、銘柄のセレクトと微妙な温度差で出してくれるお燗がなんとも絶妙なのだ。スタッフのサービスも丁寧で親切。上質の酒をさらにおいしくしてくれる日本酒ファンには満足度の高い店だ。

そして、このお店、なんとお得に楽しめる裏技があるのだ。