こうも寒いと、なかなか外に出ようという気にもならず、家であったかく過ごそうと思っちゃいますよね。最近のタイガーマスク現象とかもひさしぶりに心あたたまるニュースでしたが(これ、本当にスゴイこと、画期的な運動じゃないでしょうか。日本も捨てたもんじゃないなって思えます)、思わず泣けたり、体の芯から熱くなるようなゲイコミックはいかがでしょうか? きっと、あったか~くHOTな時間を約束してくれますよ。
というわけで、ここ数ヶ月以内に発売されたゲイコミックをいろいろご紹介したいと思います。
歌川たいじ『ツレちゃんに逢いたい』
ツレちゃんに逢いたい
歌川たいじ/A5版 120ページ(オールカラー)/1200円
今回発表された『ツレちゃんに逢いたい」は、blogには全く掲載されていないスペシャル描き下ろし本なのですが、まさかのシリアスな展開で、思わず涙すること必至の大傑作です。(ゴトウの周りでも「泣けた」の声、続出です)
毎日楽しく暮らしているように見えるうたちゃんとツレちゃんに、予想だにしていなかった危機が到来します。ダンスが好きで、まるで子ども(妖精)のように気ままに振る舞うツレちゃんに忍び寄る影…「ふたり」で生きることの意味を改めて問い直すような、大きな問題にぶち当たり、うたちゃんは「お互いを思い合うだけではゲイカップルは続けていけないのか」と苦悩します…
この本のPV(一流の映像編集。スゴいです)をぜひ観ていただきたいと思います。歌川さん自身のナレーションで「長続きするカップルは本当にちょっと。滝を登る鯉が次々に落ちていって、滝を登りきった鯉だけが、龍になる。そのくらい、珍しいんです」と語られていて、印象的です。
作家の中村うさぎ先生はこんな素敵なコメントを寄せてくださっています。
「一緒に生きて行こうね、という約束が、こんなに重いとは思わなかった。こんなに勇気が必要で、こんなに面倒臭いとも知らなかった。そして同時に、こんなに尊い約束だって事にも気づいてなかったよ」
「ありがとう。私もいつか、龍になりたい。滝の上にかかる虹を越えて、どこまでも昇って行きたいよ。そこにはきっと、ひとりでは辿り着けない場所があるんだね」
ゲイが「ふたり」で生きていくとはどういうことなのかを描いたという意味では、大塚隆史さんの『二人で生きる技術─幸せになるためのパートナーシップ』にも通じるものがありますし、他人事とは思えない、誰にでも訪れえる、そしてゲイにとってとりわけ深刻な問題をリアルに描いたという意味では、NHKの『ハートをつなごう』のような意味もあります。
そして、これが単にカップルの間の「大変だった話」として描かれるのではなく、ゲイの歴史…かつて「ふたり」で暮らすこともできない時代もあったこと、殴られ、虐げられもしてきたこと…に重ね合わせて描かれたことで、より大きな感動を喚び起こされました。歌川さんのゲイ作家としての魂を感じました。本当に素晴らしい、大傑作だと思います。
PVで使用されている曲でCDデビューを果たしたり(ライブも開催)、先日開催されたコミュニティ・イベントでも名司会ぶりを発揮して会場を盛り上げたり、大活躍中の歌川さん。その才能と人柄でますます人気を博しているようです。