統合失調型パーソナリティ障害は、エキセントリックな印象を周囲に与えてしまい、社会的に孤立しやすくなる心の病気です
それがその人の個性と言えば、そうなのですが、風変わりが度を越してしまうと、周りから「エキセントリックな人」とレッテルを張られてしまい、なかなか、人の輪に入って行き難くなります。場合によっては、仕事の求人に応募しても、エキセントリックな印象を強く与えてしまい、なかなかスムーズに就職できない……ということもあります。このように症状が原因で、社会生活上で受ける不利益が顕著な場合は、性格がエキセントリックなだけでなく、「統合失調型パーソナリティ障害」を発症している可能性もあります。
今回は統合失調型パーソナリティ障害の特徴、症状、治療法について、詳しく解説します。
統合失調型パーソナリティ障害の特徴・原因
統合失調型パーソナリティ障害の大きな特徴は、思考、会話、行動、外観で、周りの人にエキセントリックな印象を与えてしまうことです。「統合失調型パーソナリティ障害」という病名は、「統合失調症」と類似していますが、実際、症状に類似性があります。統合失調型パーソナリティ障害の人は、統合失調症の陽性症状のように、現実認識に問題が生じやすいです。ただ、統合失調症と異なり、はっきりとした幻覚、妄想はありません。
また、紛らわしい病名として、「統合失調質パーソナリティ障害」があります。「型」と「質」の1字違いですが、「統合失調質パーソナリティ障害」の方は、現実認識に問題はないものの、感情の起伏に乏しく、周囲の出来事に無関心に見えるなど、統合失調症の陰性症状に近い症状が特徴です。
2つの病気を簡単に区別すると、
- 統合失調型パーソナリティ障害……統合失調症の陽性症状に類似
- 統合失調質パーソナリティ障害……統合失調症の陰性症状に類似
統合失調型パーソナリティ障害の頻度は、人口の約3%。統合失調型パーソナリティ障害の原因自体は不明です。
統合失調型パーソナリティ障害の症状
統合失調型パーソナリティ障害では以下のような症状が見られます。- 他人と親密な関係を築きにくい
- 考え方、行動、話し方が周りの人にエキセントリックな印象を他人に与えてしまう
- 被害妄想的な考えを抱きやすい
- 幽体離脱などの、非日常的体験がある
- 感情が、その場の状況にそぐわない印象を他人に与える
- 自分とは関係のない周囲の出来事を、あたかも自分に深い関係があるかのように受け止めやすい
- 迷信、第6感、占いなど、超常現象的なものに、行動が影響されやすい
統合失調型パーソナリティ障害の治療法
統合失調型パーソナリティ障害の治療は、日常生活上、心を苦しめている、ストレスなどの問題や、他人への不信感など、対人関係を阻害しやすい症状に対処するため、心理療法が行われます。薬物療法が必要か否かは個人個人の病状によりますが、現実認識面での問題が大きくなっている時などには抗精神病薬、気分の大きな落ち込みには抗うつ薬が用いられます。
統合失調質パーソナリティー障害の経過は、個人差が大きいです。エキセントリックな印象を周囲に与えていても、仕事や結婚生活を破綻させることなく 日常生活を送れている場合もあります。しかし、現実認識能力が顕著に低下してしまい、そのまま統合失調症に移行してしまうケースもあります。やはり、早期に精神科(神経科)を受診することが望ましいでしょう。もしも、社会生活上、心の苦しみが増している場合は、精神科受診を考慮してください。