「黒豆茶」の有効成分って…?
健康茶の中でも人気の高い黒豆茶ですが、有効成分はどれくくらい含まれているものでしょうか? 静岡県環境衛生科学研究所による、市販の黒豆茶の商品テストで、興味深い結果がありましたので、一つの例としてご紹介します。同研究所のテストでは、市販の黒豆茶22銘柄(全ての銘柄の原材料名は、黒豆と記載)を調べた結果、原材料表示から、黒豆の使用割合が低いと考えられる1銘柄を除いて、浸出液には有効性分として注目されるイソフラボンが含まれていました。
■血圧上昇の予防を期待できる「アントシアニン」
浸出液中にアントシアニンが含まれていた銘柄は、22銘柄中6銘柄のみで、これらは全て原材料が黒豆のみの煎じるタイプのものでした。なお、清涼飲料水や黒豆以外の原材料が混合されている銘柄からは検出されませんでした。
ちなみに、アントシアニンの記載があっても、実際にはいろろいな材料が使われて、アントシアニンが含まれていないというものがあるので、市販品の黒豆茶を購入する際には原材料の確認が肝心です。この研究で商品の包装にアントシアニンについて何らかの記載があるものは10銘柄ありましたが、そのうち浸出液にアントシアニンが含まれていたものは4銘柄のみでした。
■過剰摂取には注意したい「大豆イソフラボン」
大豆イソフラボン含有量について、イソフラボンを添加しているものは、添加していないものの11.5倍含まれていました。大豆イソフラボンの一日上乗せ量の上限値(アグリコン換算)30mg/日を準用するとします。すると、1日500mL飲用した場合、添加していないものでは約2.9mg/日であり問題ない量でしたが、添加しているものでは約34.4 mg/日であり、上限値を上回ってしまいました。
このように、市販の黒豆茶の中には、大豆イソフラボンが添加されているものもあります。高濃度に含まれている食品を摂る際には、その日の食卓で他に大豆製品を食べていることなども考慮し、イソフラボン量が過剰摂取していないかという配慮が必要です。
煮出す? 注ぐだけ? 漬けておく? 浸出方法による黒豆茶の栄養成分
黒豆茶の浸出方法には、以下のような方法があります。- 黒豆を煮出す方法(煮出す)
- 熱湯を注ぐ方法(注ぐ)
- 煮出した後も黒豆を浸出液中に漬けたままにしておく方法(放置)
- 各成分ともに、熱湯を注ぐよりも煮出す方が多く溶出する
- 煮出すよりも放置する方がイソフラボンは多く溶出されるが、アントシアニンは少なめ
- イソフラボンの溶出率が低い(少なくとも7割以上は煮出した後の豆に残存していると考えられました)
- アントシアニンは煮出した場合、95.3%が浸出液に溶出
- 熱湯を注いで飲む場合、2煎以上出しても十分風味が出る
- イソフラボンは、1~3煎目まで溶出率は4~7%でほぼ一定で、3煎分を合計してもその溶出率は16.7%。一方、アントシアニンは、1煎目で53.4%が溶出され、3煎目までの合計の溶出率は98.0%となり、ほぼ完全に浸出液に溶出しました。
上記をまとめると、イソフラボンは煮だした後も豆の方にほとんど残っており、1煎だけでなく3煎程度までは十分有効性分が含まれていると考えられます。有効成分を生かすには、お茶として飲んだ後の豆も無駄なく食べる事をおすすめします。
しかし、いくら黒豆に注目成分が含まれているからと言っても、黒豆は薬ではありません。あくまで食べ物ですから、飲んだり食べたりするだけで、必ずやせる、血圧が下がるというようなものではありませんので、過剰な期待はしないようにしましょう。黒豆ばかり食べるなどの偏った食べ方はせずに、あくまでバランスのよい食事をベースに、食べ物を無駄なく生かし、健康に役立てましょう。
次ページでは、黒豆茶のレシピをご紹介します。