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日本は家事に時間をかけ過ぎ?「やりすぎ家事」にはご注意

日本の主婦は家事を、総合して一日にどのくらいの時間しているのでしょう? 「時短家事」と耳にするとき、多くの人は洗濯物を早く取り込める技など、個別の家事を早く終わらせるコツを頭に思い浮かべることと思います。本当の時短とは一体何なのでしょうか。

ももせ いづみ

執筆者:ももせ いづみ

時短生活ガイド

日本人は家事をやりすぎ?

日本人は家事をやりすぎ?


「時短家事」とみなさんが耳にするとき、多くの人は洗濯物を早く取り込める技とか、スピード調理知恵など、個別の家事を早く終わらせるコツを頭に思い浮かべていることと思います。さて、それでは日本の主婦はそういった家事を、総合して一日にどのくらいの時間やっているのでしょう? データから見えてくる、驚きの日本の現状。本当の時短とは何なのか。改めて一緒に考えてみませんか。
   

日本は家事に時間をかけすぎている?

P&Gは、家事労働と自由に使える時間とのバランスに関する意識と実態を調べるため、日本の主婦1000人と、アメリカ、イギリス、スウェーデン、中国の主婦各300人の計2200人にインターネット調査を実施しました(『家事と自分時間とのバランスに関する意識・実態調査』)。この結果によると主婦の家事時間は1日平均

日本……264分
スウェーデン……162分
アメリカ……144分
イギリス……132分
中国……114分

と、諸外国に比べてダントツに多いのです。中国やイギリスの倍も家事をしている、日本の主婦って……。

アメリカ、ヨーロッパに住む友人たちからは、こんな話もとてもよく聞きます。
「こっちに来てから家事が本当に楽になった。床は土足だからさほど神経質に掃除をしなくてもいい。食事はほぼワンプレートで終わりだし、毎日ほとんど同じメニューって家も多いの。食器は食器洗い機が洗うし、家事の外注も定番。もう日本へは戻れないかも。日本の主婦は家事のしすぎだと思う」
 

日本人女性が家事をきっちりやり遂げることへこだわり

きっちり、ちゃんと暮らすことは素敵なこと。でもやり過ぎている面もあることを、しっかりと自覚して。

きっちり、ちゃんと暮らすことは素敵なこと。でもやり過ぎている面もあることを、しっかりと自覚して。


そうはいっても、ちゃんと掃除をして、献立もあれこれ考える日本人の文化性はすばらしいじゃないか、という考え方もあります。その通りです。古来、仏教の修行に掃除や食事作りが積極的に取り入れられてきたように、日々の暮らしの仕事に深い精神性を重んじている日本の文化は胸を張っていいものだと思います。

でも一方で、こうした「精神性」の部分にとらわれてしまうことで、忙しい毎日の中、過剰に自分へのハードルを高くしてしまっている人たちがいることにも、目を向けていかなくてはならないのではないでしょうか。

日本人の家事時間が多いのはなぜなのでしょう。ひとつは、「家事育児は女性の仕事である」という役割意識が、まだ根強く日本の中にあるためだとガイドは思っています。主婦の中にある「これは私たちの仕事である」という気負いと、周囲からの「それはあなたの仕事なんじゃないですか?」という無言のメッセージの相乗効果で、日々のやるべき仕事が次々と作り出されていく。これが第一の理由です。

もうひとつは、日本人が世界でもまれにみる「きっちりした」性格だから。アメリカ在住の私の友人は「世界の人とルームシェアをするために必要なアバウトさ」を判断する「きっちり度テスト」を作ってウェブ上に公開したことがあります。

泥付きの靴をキッチンに置くなんて! 冷蔵庫に入れる果物はビニールに入れてきっちりと封をしないと。一回来た服は洗濯機に入れるでしょう? そんな「きっちりとした日本人」でいると、外国の人と一緒に住んだりするとノイローゼみたいになっちゃうのよ、と彼女は言います。つまり、それだけ日本人は日々に暮らしの仕事を多く増やしているということでもあります。 
 

日本人が特に時間をかけている家事は? やりすぎにはご注意

家事時間の詳細を見てみましょう。料理を作る頻度については

■1日に3回以上料理をすると答えた人の率
日本……55.5%
イギリス……14.7%
スウェーデン……7.7%
アメリカ……26.0%
中国……23.3%

■1日に3回以上食器洗いをすると答えた人の率
日本……55.5%
イギリス……27.3%
スウェーデン……7.7%
アメリカ……8.3%
中国……26.0%

さらに「家事を効率的にできていると思いますか」という問いに対し、「効率的にできていない」と考えている主婦の割合は、

日本……44.7%
アメリカ……16.7%
イギリス……23.7%
スウェーデン……15%
中国……10%

こんなにいっぱい働いて、それでもなお「ちゃんとできていない」と自己確認できない女性たち。これはなんとかしていかなくちゃ、いけないんじゃないでしょうか?
 
ドイツの朝ご飯

調理をちゃんとしなくても、おいしく楽しく食べられる知恵はいっぱいあるのです

家事は確かに大変な作業です。でも、その作業を増やしているのは、実は自分自身という部分も大きいのだと思います。諸外国の女性たちは、ちゃんと生活をしていないわけではありません。ただ暮らしのスタイルを、過剰な家事を生み出さない形に設定して、自身にも過剰な義務感を負わせていないだけなのだと思います。

1日3回食事を作り、3回食器を洗わなくても、健康に家族と一緒においしく食べる暮らしはできます。家事をしすぎてしまうライフスタイルは、水やエネルギーを大量に消費するスタイルでもあり、家事時間に自分時間を浸食されて、女性自身が元気をなくしてしまうスタイルでもあります。

「自分は家事をしすぎている」と自覚することから、時短家事生活はスタートします。家事のしすぎは、自分にも、地球にもいいことはありません。時短生活の要は
  • しなくていい家事までやっていないか
  • ひとつの家事の時短技ではなく、ライフスタイル全体で家事時間を短縮する
  • 家事のやりすぎは自分にも地球にも負荷をかける
ことを自覚することから。きっちりさん、きちんとさんからちょっと自由になることが、時短家事を実現する一番の早道なのかもしれません。

食器洗いをしすぎない、ごはんを作りすぎないといった、具体的な知恵については、他の記事をいろいろ参考にしてくださいね!

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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