和菓子/羊羹・最中・甘納豆

向島「青柳正家」藤色の餡に魅せられる(2ページ目)

向島の「青柳正家(あおやぎせいけ)」と言えば、「栗羊かん」と「菊最中」。餡はよく晒されて透明感のある藤色をしています。上質な味わいと格式ある装いは、年末年始の手土産にもおすすめです。

原 亜樹子

執筆者:原 亜樹子

和菓子ガイド

「青柳正家」と言えば「栗羊かん」

「栗羊かん」(1本3,700円※杉箱入りもあり)大粒の栗がたっぷり入り、ずしりと重い。

「栗羊かん」(1本3700円 ※杉箱入りもあり)大粒の栗がたっぷり入り、ずしりと重い

同店を代表する「栗羊かん」。透明感のある藤色の羊羹に、大粒の熊本産銀よせ(栗の種類。銀と同等の価値がある、というのが名の由来)、もしくは宇和島産の栗がたっぷり入ります。

特筆すべきは羊羹と栗の一体感。栗と羊羹は同じ固さに仕上げられており、黒文字が違和感なく最後まですっと入ります。

十分に灰汁を除いた上、純度の高い砂糖を使う餡は、あっさりとして甘さにキレがあります。独特の弾力と栗のふくよかさ。雑味がないため、餡と栗の香りが際立ちます。

自家用には手が出しにくい贅沢な羊羹。ちょっと食べてみたい、という方には、小ぶりなものも用意されていますのでぜひお試しを。

「菊最中」餡がたっぷり! 

「菊最中」(10個入2,700円ほか)2個から購入できる。16菊花御紋章は、宮内庁御用達だったため。

「菊最中」(10個入2700円ほか)2個から購入できる。16菊花御紋章は、宮内庁御用達だったため

甘いものは少量が好まれる時代、人気が増しているのが「菊最中」。菊の花を模った最中皮の上下をたっぷりのこし餡が繋ぎます。高々と盛られた餡の上で、菊の花が踊っているかのようなユニークな形。

甘いものが貴重だった戦後間もない頃、目でも楽しんでもらいたい、と初代が考えた意匠です。ヘラ1本で一息に餡を盛るのは職人技。須永さんは2~3年かけてこの技を習得したのだとか。

同店の餡はよく晒しているのが特徴。菊最中の餡も透けるような藤色です。瑞々しく口溶けの良い餡を受け止めるのは厚みのある最中皮。一般的に最中皮にはもち米を使いますが、同店はうるち米で作ります。煎餅を思わせる力強い芳ばしさがあり、繊細な餡と絶妙のバランスです。

次ページで、一番人気の銘菓をご紹介。
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