「青柳正家」と言えば「栗羊かん」
同店を代表する「栗羊かん」。透明感のある藤色の羊羹に、大粒の熊本産銀よせ(栗の種類。銀と同等の価値がある、というのが名の由来)、もしくは宇和島産の栗がたっぷり入ります。特筆すべきは羊羹と栗の一体感。栗と羊羹は同じ固さに仕上げられており、黒文字が違和感なく最後まですっと入ります。
十分に灰汁を除いた上、純度の高い砂糖を使う餡は、あっさりとして甘さにキレがあります。独特の弾力と栗のふくよかさ。雑味がないため、餡と栗の香りが際立ちます。
自家用には手が出しにくい贅沢な羊羹。ちょっと食べてみたい、という方には、小ぶりなものも用意されていますのでぜひお試しを。
「菊最中」餡がたっぷり!
甘いものは少量が好まれる時代、人気が増しているのが「菊最中」。菊の花を模った最中皮の上下をたっぷりのこし餡が繋ぎます。高々と盛られた餡の上で、菊の花が踊っているかのようなユニークな形。甘いものが貴重だった戦後間もない頃、目でも楽しんでもらいたい、と初代が考えた意匠です。ヘラ1本で一息に餡を盛るのは職人技。須永さんは2~3年かけてこの技を習得したのだとか。
同店の餡はよく晒しているのが特徴。菊最中の餡も透けるような藤色です。瑞々しく口溶けの良い餡を受け止めるのは厚みのある最中皮。一般的に最中皮にはもち米を使いますが、同店はうるち米で作ります。煎餅を思わせる力強い芳ばしさがあり、繊細な餡と絶妙のバランスです。
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