ガラクタを再利用してデコレーション、カサ・バトリョ
隣のカサ・アマトリェーも歴史的建築物。通りの反対側からだと全体がよく見える
バルセロナのなかでも個性的な建築のひとつなのですが、ガウディはただ奇抜な建築物を建てて、人々を驚かせたかったわけではありません。このカサ・ミラの外観を飾る破砕タイルやガラスは、なんと地元の会社の廃棄物を譲り受けたもの。内装のデコレーションにも凝っていますが、何より、20世紀初めての換気を重視した家だったのです。
オーナーが住んでいた2階は最もゴージャス!
外観にばかり目が行きますが、自然には光が入りにくい部分にも、鏡やガラス窓を付けて反射した光が入るようにするなど、内部もとにかく考え抜かれた造り。階段を上って、暖炉がある小さなサロンを通リ抜けると、街一番の大通りパセジ・デ・グラシアに飛び出したような構造の大きなサロンが広がります。さらに奥に入ると、他の建物に面したプライベートな中庭が登場。スペインではパティオと呼ばれる中庭は、大抵オーナーが住む最も広い階にあります。天気のいい日は、バトリョ一家もここで食事を楽しんだにちがいありません。
ガウディがデザインした家具があるカフェも
同2階には、ガウディがデザインした椅子が展示してあるスペースもあります。見ると、木の温かみがあるかわいいデザインという印象ですが、人体の構造を考慮して最も快適に座れるよう細部まで計算して作られているんです。展示スペースの奥には、ガウディ作の椅子も内装を飾る、パセジ・デ・グラシア通りが見渡せる雰囲気のいいカフェがあるので、見学の最後にはお茶をしてはどうでしょう。バトリョさん宅にお呼ばれしたみたいな気分になれそう。階段や家の扉にも注目!
旧バトリョさん宅の2階を出ると、階段かエレベーターで最上階へ向かいます。階段の手すりなども全部ガウディデザインなので、できれば少しは階段で上がりたいところ。カタツムリみたいなかわいい部分もあったり、木の手すりは、ガウディが自らの手を石膏で固めて、研究に研究を重ねて、作られています。まるでおとぎの国の入り口みたいな、木造の家の扉や、花形のドアノブにも注目してみてください。上に行くほど薄い色にグラデーションする建物の内側のタイルも素敵。白いアーチが幻想的な最上階
最上階の7階にはお手伝いさんの部屋や、洗濯部屋、アイロン、裁縫部屋があります。天井からはたくさんのアーチがぶら下っていて、教会の回廊のような雰囲気。アーチは狭い空間を広く見せるガウディ独特の技だとか。最も湿気が篭りやすい部分ですが、洗濯場なが外から見えないように考えて通気されているそうです。キノコや竜や魚の鱗が!奇妙で愉快な屋上
白いアーチの最上階から小さな螺旋階段を上ると、そこは屋上。カラフルなシメジのような形の煙突や通気口、屋上の真ん中には天窓がとってあります。鱗に見立てた屋根瓦は、バルセロナの街のシンボルでもあるドラゴンの背のような形。屋上の片隅にある旧貯水庫は、小さな噴水をあしらえた瞑想部屋のような空間に改装されています。<DATA>
■Casa Batlló
住所:Passeig de Gracia 43
TEL:93 216 0306
開館時間:9:00~21:00(イレギュラーで9:00~14:00の日あり)
休み:なし
入館料:23.50ユーロ