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厚生年金44年加入特例とは? わかりやすく解説
「厚生年金44年加入特例」(=正式には「長期加入者特例」)とは、「厚生年金に44年以上加入し、退職もしくは厚生年金制度から外れた人に支給される特別支給の老齢厚生年金は、報酬比例部分に定額部分を加えた満額になる」というものです。
加給年金の支給資格を満たす場合は、もちろんそれも上乗せされます。昭和18年4月2日以降生まれの年金受給権者の配偶者加給年金は39万900円(令和2年度)です。
卒業後すぐに厚生年金に加入し、60歳までずっと加入した場合の厚生年金加入期間は、中卒で約44年、高卒で約41年、大卒で約37年です。中卒は60歳退職でも特例期間44年を満たします。高卒は63歳まで厚生年金に加入し続ける必要があります。大卒は残念ながら、65歳まで加入しても44年には手が届きません。
高卒も加入特例を満たすことが可能に
平成25年4月1日に施行された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」により、原則65歳まで希望者全員が働き続けられるようになりました。60歳から特別支給の老齢厚生年金が支給されない会社員が、年金が支給開始されるまでは働き続けることができるように企業に義務付けたものです。これにより、高卒の人は、希望すれば厚生年金加入期間44年を満たすことが可能になりました。パートやアルバイトでも可能に
厚生年金保険に加入するための要件は次の4つです。- 週20時間以上勤務
- 月額賃金が月収8万8000円以上(年収106万円以上)
- 勤務期間が1年以上の見込み
- 学生でない
適用対象は、従業員501人以上の企業です。500人以下の企業でも労使の合意があれば加入が可能ですので、労働条件を含め厚生年金加入の可否を確認しましょう。
特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢
特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は、生年月日・性別により下記の通りです。<特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)支給開始年齢と生年月日>
※( )は女性の場合
- 支給開始年齢60歳
昭和28年4月1日以前(昭和33年4月1日以前)生まれ - 支給開始年齢61歳
昭和28年4月2日~昭和30年4月1日(昭和33年4月2日~昭和35年4月1日)生まれ - 支給開始年齢62歳
昭和30年4月2日~昭和32年4月1日(昭和35年4月2日~昭和37年4月1日)生まれ - 支給開始年齢63歳
昭和32年4月2日~昭和34年4月1日(昭和37年4月2日~昭和39年4月1日)生まれ - 支給開始年齢64歳
昭和34年4月2日~昭和36年4月1日(昭和39年4月2日~昭和41年4月1日)生まれ
「厚生年金44年加入特例」の適用対象者
「厚生年金44年加入特例」は、「昭和36年4月1日以前に生まれた男性」と「昭和41年4月1日以前に生まれた女性」で、- 厚生年金保険の被保険者ではない(例:退職している)
- 厚生年金保険の被保険者期間が44年以上ある
加入期間はねんきん定期便で確認
年金制度は月数でカウントするので、44年=528カ月を超えるのはいつなのか「ねんきん定期便」で確認しておきましょう。なお、特例の加入期間44年は、厚生年金・共済年金それぞれ単独の加入期間でカウントします。厚生年金と共済年金の加入期間合計で44年というのはダメです。ご注意を!
加算される定額部分は年額78万円
昭和21年4月2日以降に生まれた人の場合、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分に加算される定額部分は年額78万円です。*定額部分の計算式=1625円×生年月日に応じた料率(※1)×被保険者期間の月数(上限480カ月)
*(※1)昭和21年4月2日以降に生まれた人の料率は1.00を用いる
定年を延長する人にとって44年特例は要チェック
「65歳までは働く」「一生現役」などと考えている人には、この「長期加入者の特例」は何の意味も持ちませんが、「退職後は年金に有利な形で働く」と考えている人にとっては大きな意味を持つ特例です。
65歳まで働き続けることができる、という状況になった今、「厚生年金44年加入特例」の輝きは鈍くなりました。さて、65歳まで働くか、それとも厚生年金加入44年の特例を利用するか、ここはじっくり思案のしどころです。
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