桃花源里人家 西逓の見所
西逓と言えばこの青石牌坊。日本の中華街でも入り口には必ず門があるが、あれが牌坊だ
西逓の祠堂、敬愛堂。「敬愛」には胡家の先祖や家族に対する思いが込められている
西逓のランドマークは入り口の牌坊(パイファン:はいぼう)で、1578年、胡文光が朝廷に召されたことを記念して建てられた。胡家の向上心は非常に高く、科挙の試験で好成績を収めて役人になる者も多かった。それでも故郷を忘れず、先祖や家族への恩返しや孝行を何より重視したという。
徽派民家は220以上も残っており、一般に開放されているものもたくさんある。また、追慕堂、敬愛堂などの祠堂も当時のまま残されており、先祖を祀った数々の祠堂も見所のひとつとなっている。
中国画里郷村 宏村の見所
宏村のため池・月塘。「中国画の村」といわれるだけあって、ほとりでは数多くの学生が写生を行っている
街並みは牛の形をかたどっているといわれており、雷崗と呼ばれる山が牛の頭で、村の入り口にある2本の木が牛の角、南湖が牛の腹で、入り組んだ水路が腸、そして月塘と呼ばれる池が胃袋にあたるのだという。どうやら現在の風水にあたる学問が、この配置を生んだらしい。
承志堂は「民間の故宮」と呼ばれており、徽商の繁栄をもっともよく表す建物といわれている。徽派三彫の精巧さが際立っている。
街をプラプラ歩いていると、いたるところにアトリエや書院があるのがわかる。学生たちはあちらこちらで写生をしているし、家の中もきれいに整備されている。
西逓・宏村の人々は、古来より美を愛し、和を愛し、故郷を愛し、先祖を愛し、家族を愛し、生きてきた。それがすぐれた建築を生み、彫刻を生み、書を生み、演劇を生み、料理を生み出した。その血を引く人々がいまも当時のままに暮らしている。