水平対向ならではの長所を伸ばし、欠点を補う改良
 

FB20

スバルの次世代パワーユニット「FB20」は、従来のEJ20型から完全に設計を見直し、ボア・ストロークの設定を大幅に変更したブランニューエンジンとなる
 

“スバリスト”と呼ばれる熱心なファンが多いことでも知られるスバルですが、その人気の秘けつである水平対向エンジンが、実に21年ぶりにフルモデルチェンジを受けました。水平対向エンジンとは、一般的な直列エンジンでは、各シリンダーが直線的に並んでいるのに対し、クランクシャフトを軸に180度相対する形でシリンダーが配置されているエンジン形式のことを言います。

かつてはVWビートルをはじめ、世界中の様々なメーカーで水平対向エンジンが採用されていましたが、現在も自動車で採用しているのはスバルとポルシェだけです。いずれもマニアックなファンが多いことで知られるメーカーですが、水平対向エンジンがそのファンたちを惹きつける源となっていることは間違いありません。

水平対向エンジンでは、エンジン自体の高さを低く抑えられることで車両の低重心化が図れる、左右に向かい合ってピストンが動くためエンジンが発する振動を抑制できるといったメリットが挙げられます。また、独特なエンジンサウンドもスバルやポルシェのファンが、水平対向エンジンを支持する大きな要因となっているようです。

EJ20

従来の主力ユニットEJ20は、20年近くに渡って進化を続けてきたが、いよいよ新世代へとスイッチ

ただし、その構造上、エンジンのストロークを増やすとエンジン本体の幅がその分広くなってしまうため、クルマのボディ幅も広がってしまうという課題も抱えています。そのため、水平対向エンジンで排気量を拡大するためには、シリンダーのボアを広げる必要があり、それを追求してゆくと極端にショートストロークかつビッグボアなエンジンとなってしまいます。空冷時代のポルシェ911のエンジンは、その典型といえます。

一般にショートストロークエンジンは、高回転が得意なものの、低速域のトルクが細くなりがちです。ポルシェはそれを排気量アップで、スバルはターボチャージャーによる過給で補ってきましたが、それでもこれまでのスバルの水平対向エンジンは全般的に低速トルクの不足が指摘されてきました(もともとポルシェ911は6気筒、スバルの主力エンジンは4気筒という差もありますが)。

それでもスバルがボアの拡大による排気量アップに走らなかったのには、エンジンの設計的な問題や日本の税制(排気量によって自動車税が区分)などもあったかもしれませんが、安易にボアを広げると燃焼室容積が拡大することで、燃焼が不十分となりやすかったり、冷却による損失が増えたりといったデメリットが増加することを懸念していたのだと思われます。

そこで、今回の新エンジンでは、従来のエンジンが抱えていた問題を根本的に改善する新たな設計が採用されたのです。その詳細は次ページで詳しく解説します。