古代インドにさかのぼるダットの恐怖

ダットの特徴的な訴えである「尿に白いものが混じっている」を除けば、気分の落ち込み、強い不安感、不眠といった症状は、一般的な精神症状なので、ダットは元々、うつ病、不安障害などの心の病気があって、本人が自分の精神的な不調の原因を「尿に白いものが混じっているから」と解釈していると見る事もできると思います。しかし、南アジアでは、精液を喪失する事への強い恐れが根付いている事は確かです。

古代インドでは、生命には血液、骨髄、精液など7つのエッセンス(dhatus)があり、これらのエッセンス同士の調和が乱れることで病気が生じるとされていました。ダット(dhat)はこのエッセンスを意味するdhatusという語に由来していますが、体から精液を喪失する事は、これら7つのエッセンスの調和を乱してしまう、深刻な事態を意味するのです。

なお、南アジア以外の人から見れば、「尿に白いものが混じっていると男性機能を失ってしまう」という信念は非合理的かつ強固なものなので妄想に近いですが、南アジアでは多くの人に共有されている考えなので決して妄想ではなく正常範囲でしょう。ダットでは尿に白いものが混じっている事によって強い不安が生じますが、要は、自分のモノに異変が生じていると思い込んで強い不安が生じる事なので、それほど奇妙な事ではないと思います。

ところで、「ダットはインドの話で、日本人のオレには関係ないね」と思われるかもしれませんが、性に関する事で不安や気持ちの落込みが生じる事はよくあります。まして、ダットの原因はHな雑誌を読みふける、過度のマスターベーション、性交渉と聞くと、胸にズキンと来る人もいらっしゃるかもしれません。

ダットは伝統的なハーブ療法や心理療法によって治療されます。気分の落ち込みや強い不安感に対処する為に薬物療法が必要になる時がありますが、南アジアの人達の間では、不健全な生活を改めて結婚すればダットは治るとも言われています。日本の若い男性は遊び過ぎてもダットにはなる事は考えにくいですが、メンタルヘルスが心配なら結婚の事も考えましょうね!?


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