国分寺といえば
武蔵国分寺に国分寺崖線
|
かつての武蔵国分寺の金堂があった場所。周囲ではいまだに発掘が続いており、当時の壮麗さが推察できる |
国分寺といえば、地名の元となった武蔵国分寺(混乱するので寺院名には武蔵をつけておきます)が有名。これは聖武天皇が741年に世情不安を収めるため、各国に建立を命じた寺院で各国に一箇所ずつ国分寺、国分尼寺が作られています。武蔵国分寺はその中でも屈指の規模を誇っており、大正11年には国の史跡に指定され、現在も発掘が続けられています。往時からこの地が関東では重要な場所であったということでしょう。
|
真姿の池湧水群に沿って設けられた遊歩道。木陰に入るとひんやりと夏でも涼しいエリアだ |
その武蔵国分寺が建てられていたのはもうひとつ、国分寺を全国的に有名にしている国分寺崖線を背後にした土地です。この国分寺崖線とは立川市から国立市、国分寺市、府中市、小金井市、三鷹市、調布市、狛江市、世田谷区を通って大田区まで続く、延長約25kmに及ぶ斜面。高さは10~20mほどもあり、中でも国分寺市付近に目立った崖が多いことから、名付けられました。
|
せせらぎの中で遊んでいる子どもたちが持っていた洗面器の中には元気なざりがにが |
現在の崖線は、野川の流れとほぼ並行していますが、元々は太古の多摩川が武蔵野台地の南側を削ってできた河岸段丘。斜面から湧き出る豊かな湧水はサワガニやホタル、トンボのヤゴなどの水生動物を育み、周囲の緑は野鳥や動物の生息地となってきました。斜面という特殊な形状から宅地化はあまり進んでおらず、その分、貴重な自然が残された場所でもあります。
|
国分寺駅南口からすぐのところにある都立殿ヶ谷戸庭園。傾斜を生かしてせせらぎなどがしつらえられ、駅近くというのに深山幽谷の趣がある |
国分寺市内には観光名所ともなっている武蔵国分寺近くの真姿の池、お鷹の道だけでなく、駅のすぐ近くにある都立殿ヶ谷戸庭園、普段は非公開な日立中央研究所内、東京経済大学内新次郎池、姿見の池などあちこちに湧水があり、周囲には緑も。高い建物が少ないこともあり、都心から訪れると空の高さ、緑の多さにふっと癒される気がするほどです。
国分寺と周辺の位置関係は?
|
国分寺駅と周辺の位置関係を簡略化したもの。国分寺市は小金井市、国立市、小平市、国立市などに囲まれている |
スーパー、商店街に
学校、研究所も多い教育熱心な街
|
国分寺駅南口。ロータリーの周辺には商店街、スーパーなどが広がる |
とはいえ、自然だけの場所ではないのがこの街の魅力。中央線特別快速を使えば新宿から20分。西武多摩湖線、西武国分寺線の始発駅でもあり、駅にはマルイファミリーが入った駅ビル「エル」、南口正面には「マルエツ」、南口商店会、南栄商店会、北口には「西友」、「オーケーストア」、北口駅前商店街、札の丘商店街などがあり、買い物から飲食まで各種の店が揃っています。残念ながらいつも混雑しているというほどの賑わいは見られないものの、呉服屋さんから模型店まで店の種類は豊富です。
|
昭和21年に赤坂から移転してきた東京経済大学は市の教育委員会を共催で市民講座なども開催している |
特に目につくのは、東京経済大学をはじめ、学校が多いせいか、意外にお手頃価格なブティックやアクセサリーショップ、飲食店。国分寺とお隣武蔵小金井、少し離れて府中の間は学校の多い学生街でもあるのです。実際、平成17年の国勢調査によると全国の平均年齢43.3歳に対し、東京都は42.8歳、そして国分寺市はそれより若く41.7歳となっており、全平均に比べると若い人の多い、活気のある街といえるのです。
|
学校が多いためか、国分寺駅周辺では若い人の姿も多い |
さて、学校ですが、具体的には前述の東京経済大学を始め、創立100周年を記念して移転してきた早稲田実業高校・同中等部、初等部や、東京学芸大学・同付属小金井小中学校、サレジオ中学校・同小学校に文化女子大・同短大の小平キャンパス、明星小中学校、東京農工大学、その他専門学校など。個性ある教育で知られる学校が多いのが特徴で、子どもの教育に熱心なファミリーならこの点だけでも住んでみたいと思われるかもしれません。
私立学校だけでなく、国分寺は公立の小中学校のレベルも高いと言われています。事実、東京都教育委員会が平成15年度から実施している「児童・生徒の学力向上を図るための調査」でも例年好成績を挙げており、都下では武蔵野市や三鷹市、小金井市などと並んで都平均を上回るレベル。私立小中学校へ進学する児童・生徒の多いエリアであることを考えると、この成績はかなりのものと言って良いと思います。
このほか、国分寺に多いものといえば、駅北口にある日立製作所の中央研究所や南口の総務省情報通信政策研究所といった研究所に、みなしごハッチや科学忍者隊ガッチャマンで知られるアニメプロダクション竜の子プロ、そしてそこから独立したプロダクションI.Gなど。最近ではエスニックや自然をテーマとした雑貨店や飲食店なども増えています。
次は気になる住宅事情です。