高級住宅街は閑静さと引き換えに利便性が欠け、下町は住まいやすいが憧れ感が少ない。一般的にはこうなります。しかし、高級さと利便さを兼ね備え更に文化的でもある、そんな街も存在します。今回は、住みやすい街・住みたい街の要素を駅周辺に網羅している阪急「岡本」駅界隈を紹介いたします。

神戸市の西部、かなり山手

登山の人
保久良神社より
(上)駅から10分も歩かないうちにこのような風景が(下)保久良神社を背に海を見下ろす
阪急「岡本」駅は行政区は神戸市東灘区、住所は駅前から西側にかけてが「岡本○丁目」「西岡本○丁目」、東側は「本山北町○丁目」となります。

駅周辺に限らず、西宮市から神戸市に至る阪神間全体がなだらかな南に向かって勾配が下がる「斜面地」となっています。ここ阪急「岡本」駅周辺も、駅から北に向くと上り坂、南に向かうと下り坂。

JR線と阪急線の間に山手幹線という道路が通っています。この周辺を境に北と南では勾配が変わり、阪急「岡本」駅のある北側は多少勾配がきつくなります。その勾配は山手に向かえば向かうほどきつくなり、いつしか六甲山系の山の中へ……。

駅の北側、直線距離で600m程のあたりに保久良神社があります。周辺の小学生の遠足スポット、健脚な方の散歩コースでもあるのですが、参道前から阪神間が一望できるほどの山の中の神社も、地図上では阪急「岡本」駅徒歩19分表示!まさに周辺住宅地は「山の手」です。

梅と桜の歴史あり

看板
梅林
(上)梅と桜が徒歩圏で楽しめるという風流さ(下)梅林公園こと岡本公園は住宅街の真ん中にある
阪急「岡本」駅の山(北)側、駅舎から直線距離で100m足らずの場所に公園があります。住宅地の中にポツンとある公園は、道路付けも悪く、ぱっと見はどこにでもありそうな公園です。ここは岡本南公園、別名「桜守公園」といわれる桜の名所です。名所といってもそんなに沢山の桜があるわけではありません。ここは、水上勉の小説「桜守」のモデルとなった「桜男」こと笹部新太郎の旧宅跡。これを神戸市が買い上げて公園にしたわけです。

笹部氏はダムに沈む運命だった木を見事植え替えた「荘川桜」などでも有名です。この「荘川桜」の話、泣けます。

岡本南公園(桜守公園)からさらに山(北)側、「岡本」駅からの徒歩表示で徒歩8分の場所にあるのは岡本公園。こちらは別名「岡本梅林公園」と呼ばれています。

江戸時代から明治にかけては「吉野の桜」と並び称されるほど「岡本の梅」は有名な観光名所でしたが、昭和13年の阪神大水害や第二次世界大戦による戦災、そして戦後の宅地化などで、梅林のほとんど失われました。今の梅林はその後に整備されたものです。

歩いて5~6分しかかからない距離の岡本公園と岡本南公園は、それぞれ梅と桜にまつわるエピソードをもつ手軽なお散歩スポット。「岡本」駅の歴史と文化を感じることができます。ちなみに東灘区の区の花は梅です。

歴史ある街「岡本」。人気の秘密はそれだけではありません。次のページでは「岡本」駅の利便性の高さを見てまいります。