妊娠中期/胎動

胎動がわからない…知って安心!胎動の基礎知識と種類

胎動がわからなくて不安、これって腸の動き? ――などといった疑問を持つ妊婦さんへ、胎動の基礎知識と種類、いつからどの位置で動くかについて解説します。個人差はありますが、初産婦さんで妊娠18週・19週・20週ぐらい、経産婦さんではそれより少し早く感じるようになります。

竹内 正人

執筆者:竹内 正人

妊娠・出産ガイド

胎動とは赤ちゃんが自分の存在をお母さんに伝えるサイン

胎動がわからない?

お腹の中の赤ちゃんはどうやって動いているの?

おなかの赤ちゃんが動き胎動を感じたとき、多くの人は、お母さんになる実感が大きくわいてくることでしょう。また、赤ちゃんの元気な様子がわかって、ひと安心という人も多いはずです。
<目次>

胎動はいつから? 胎動ではなく腸の動きだったということも…

はじめて胎動を感じる時期は、初産婦さんで妊娠18週~20週ぐらい、経産婦さんでは、それより少し早く感じるようになります。初産婦さんは、胎動とはどんな感覚かわからないので、当然のことですよね。

といっても、この時期には個人差がとても大きく、16週ごろから感じる人もいれば、22週ごろになってはじめて感じる人もいます。こんなに差が出てくるのは、胎動を感じる上で大きく影響を受けるお母さんの腹壁の厚さや赤ちゃんの体位、胎盤の位置などに違いがあるからです。胎動と思っていたら、腸の動きだったということもよくあります。

いずれにしても、赤ちゃんは、お母さんが胎動を感じるずっと前からに元気に動いているのです。健診での超音波検査で赤ちゃんが動いている様子がわかるので、「まだかしら……」とあまり気にしすぎないようにしてください。
 

赤ちゃんは眠ったり起きたりしている

さて、赤ちゃんはおなかの中でどのように暮らしているのでしょう? 赤ちゃんは、お母さんと一緒に寝たり起きたりしているのではありません。外の世界とは関係なく、自分のぺースで眠ったり、起きたりを繰り返しているのです。夜、お母さんが眠っているにもかかわらず赤ちゃんが動くのは、このためなのです。

初期は、眠っている時間(休止期)が長く、おなかの中を漂っている状態です。週数が進むにつれ、起きている時間(活動期)が長くなっていきます。ただし、起きているといっても覚醒しているのではなく、レム睡眠(動睡眠)と呼ばれる時間です。そして、30週ごろには、活動期と休止期のサイクルがはっきりしてきて、動いている時間と、動かない時間、それぞれの持続時間がどんどん長くなってゆき、37週以降にはあまり変わらなくなります。

お母さんが感じ取れる胎動は、活動期の動きの一部だけです。お母さんには伝わりませんが、赤ちゃんは目を動かしたり、向きを変えたり、しきりと自分の体をさわったりと、様々な動きをしているのです。また、お母さんが忙しく動いていれば、胎動を自覚しにくくなるなど、すべての胎動のうちお母さんは約40%しか感じることができないというデータもあります。
 

赤ちゃんのいろいろな動き方・胎動の種類

赤ちゃんはいろいろな動きをしています。ただし、これらの動きは、勝手気ままな動きではなく、生まれてから必要な動きのための準備運動と考えられています。なお、「おなかを強く蹴るから男の子」と言う人もいますが、医学的には、性別や性格が胎動に関係するという根拠はありません。
 
  1. キッキング
    腕や足を曲げたり伸ばしたりする動き。妊娠末期には減少します
  2. ローリング
    体全体を回転させるような動き
  3. しゃっくり様運動
    大人のしゃっくりのように、胸やお腹をヒックと動かします。一旦しゃっくり様運動が始まると30分くらい続くこともあります。ただし、赤ちゃんが苦しがっているわけではありません
  4. 呼吸様運動
    腹式呼吸をするかようのように、胸をふくらまさたり、しぼませたりします。呼吸様運動が正常にあることは、赤ちゃんが元気な証しとなります
  5. 胎動としては感じない動き
    目をキョロキョロと動かす、あくび、ゆぶしゃぶり、羊水を飲むなど
     

妊娠後期は胎動が少なくなるのか?

自治医科大学の松原茂樹先生のグループは、日本人の妊婦のデータから、新規胎動数カウント法を考案しています。

「1日のうちで最も活発に動いたとき、10 回胎動を感じるのにかかった時間を毎日記録させる」方法です。一般に、妊娠後期になると、赤ちゃんは先進部を骨盤の中に落ち着かせるようになるので、胎動が少なくなってきますが、松原の方法で妊娠後期に10 回カウントを測定してみると、平均所要時間は14.8 分で、90 パーセンタイル値は35 分であったと報告しています。

この結果を受けて、自治医科大学では、カウント時間が1時間以上の場合には、外来を受診するように指導しているそうです。

よくある質問

Q. 胎動とお腹の張りや腸の動き、しゃっくりとの違いって

A. お腹の張りは、お腹全体が堅くなり治まると軟らかくなるので比較的わかりやすいでしょうが、腸の動きとの見極めは難しいでしょう。一方、生まれた後の呼吸の練習とも言われるしゃっくりは、始まると同じ間隔で数分以上続く場合が多いため慣れてくると見極められるようになるでしょう。

Q. 双子の胎動に左右差があり片方だけ感じにくいです

A. 双子の場合、赤ちゃんが左右にいる場合、上下にいる場合など位置によってそれぞれの胎動の感じ方は違ってきます。健診でふたりの推定体重や羊水量に差がなければ、まず問題ないでしょう。

Q. 妊娠20週ですが、胎動があまりわからないため不安です。どんな感じでしょうか、胎動を感じやすい体勢などあるのでしょうか。

A. 妊娠17週くらいから、18週、19週と徐々に胎動を感じる方は増えてきますが、妊娠経過に問題なければ妊娠20週で胎動があまりわからなくてもまず心配ありません。個人差はありますが、初産婦さんでも21週から22週にかけてほぼ胎動がわかるようになるため、23週であまりわからない場合は医師に相談してください。

Q. パパが触るとシーン……。夫が触ろうとすると胎動が止まり、まだわかりません。パパに感じてもらうコツはありますか?

A. パパは慣れるまではそっとお腹を触るでしょうから、まだ小さい妊娠25週くらいまでだと、外からは胎動を感じられないことも多いでしょう。また、胎動がある時間とない時間は交互にくるため、よく動いている時にパパを呼んで触ろうとする頃にはおさまってくることもあるでしょう。パパを嫌がっているわけではないので、気にされないでくださいね。30週を過ぎると胎動に合わせてお腹が見るだけでわかるように動くので、飛びでた足を触れるキックゲームも楽しむことができるようになります。

Q. 妊娠19週の経産婦ですが、胎動がまだわからないため心配です。経産婦だと、初産のときよりも胎動は感じにくいのでしょうか。

A. 妊娠19週の経産婦さんなら胎動がまだわからなくても心配ないことがほとんどです。妊娠経過が特に異常がなければまず問題ないでしょう。経産婦さんは一度胎動を経験しているため、初産婦さんより認識しやすい傾向がありますが、個人差もあります。それでも20週、21週までには感じることが多いでしょう。

Q. 臨月ですが、前駆陣痛・陣痛と胎動の違いはわかるものでしょうか。見極め方がわからないため不安です。

A. 不安かと思いますが、徐々に間隔が短くなり強さも増してくる陣痛は胎動とは全く違うので見極められないことはありません。時に前駆陣痛との見極めは難しいかもしれませんが、これは間違えても問題ありません。

Q. 逆子ですが胎動があまりわかりません。逆子だと感じ方は違うのでしょうか。

A. 赤ちゃんの位置によって胎動の感じ方はかなり変わってきます。頭位だとキックが激しい赤ちゃんも、逆子だと直接子宮の壁を蹴れないかもしれません。逆に言えば胎動の感じ方か再びかわることが、赤ちゃんの頭位に戻っているサインの可能性があります。

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