メンタルヘルス/(読み物) 文化依存症候群・地域特有の病気

対人恐怖症(日本):シャイではすまない心の病気

欧米人から見ると、人前に出た時に、不安症状が生じる対人恐怖症は日本独特の病気のようですが、その実態は、その場の状況にふさわしくない不安反応が起きてしまう、不安障害の一種です。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

対人恐怖症とは?
対人恐怖症は、内気であるというだけでなく、人前に出た時に起こる不安症状が特徴です
人前に出るのが苦手な人は少なくないと思います。壇上に上り、大勢の人の視線を受けて、スピーチをする羽目になった時は、どうでしたか? 緊張のあまり、足がすくんでしまう事もあると思います。

初対面の人に会った時、顔が紅潮し、心臓がドキドキしてしまうといった事は、私達、日本人の間では決して、珍しくないですが、外国、特に、欧米では稀なようです。私達は場の空気を読み、周りに合わせて行動するのを大切にしていますので、相手を意識しやすいのでしょう。対人恐怖症は、欧米人から見ると、日本特有の現象らしいので、文化依存症候群の一つになっています。今回は、対人恐怖症についてお話したいと思います。


対人恐怖症の症状

対人恐怖症は通常、10代から始まり、人前に出た時に、以下のような不安症状が出現します。

  • 顔面が紅潮する
  • 心臓がドキドキする
  • 汗が噴き出てくる
  • 気持ち悪くなる
  • 呼吸が速くなる
  • 手が震える
  • 頭が真っ白になる


こうした不安症状と共に、相手から悪く思われているといった、認知の歪みが伴いやすく、また、他人との関わりを避けがちになり、引きこもってしまう場合もあります。

>> 次に、対人恐怖症は、うつ病などの他の心の病気と比較して、精神医学的にはどのように位置づけられているかを説明します >>
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