プリン体を多く含む食品を摂取すると、体内で分解されて尿酸となります。尿酸は体内でも作られます。痛風の発症は、遺伝にも大きく左右されるようです。食事や体内での尿酸の生成量と、体外へ尿酸を排出するバランスが壊れると発作を起こします。尿酸値が高くても結晶ができない人もいます。以前は、痛風の治療には厳しい食事制限が必要でしたが、最近ではお薬の服用によって食事療法が随分緩和されてきました。
食事療法といえば、とにかくプリン体の摂取を減らすことばかりが注目されていましたが、最近では食事療法が変わってきたのでまとめてみました。
痛風のリスクをまずチェック
お酒はやめられない……でも、後で痛い思いをするかも。
- 男性
- 閉経後の女性
- 過体重
- アルコールまたは清涼飲料水をよく飲む
- 肉と魚をよく食べる
の5つです。
プリン体の量が多い珍味的な食品やレバーなどは避ける
白子、あんこう、ウニなどの珍味・おつまみ的な食材は出来るだけ摂取を減らしてプリン体の摂取を抑えましょう。日常的に食べる動物性の食材は量を管理する
日常的に食べるお肉や魚は、ブリン体が多く含まれるからといって、変に抑えてしまうと栄養不足につながります。栄養が不足すると疲れやすくなったり、免疫力が低下して体調を壊しやすくなります。個人差は大きいですが、ある米国の団体は、1日120~170g程度の肉なら食べても大丈夫だと報告しています。私の患者さんの中には、ビールを飲みながら、一度に150g以上の牛ヒレを食べると必ず痛風の発作が出ると言っていた人もいました。動物性食品はプリン体の量を考慮しながら、自分が大丈夫そうな量を考えてみる必要があると思います。
■100g当たりのブリン体の量(mg)
- 【豚肉】 バラ75.8、ヒレ119.7、ロース 90.9
- 【牛肉】 ヒレ98.4、モモ110.8、リブロース74.2
- 【鶏肉】 ささみ 153.2、モモ122.9、手羽137.5
- 【魚】カツオ211.4 サンマ154.9 マイワシ210.4
野菜のプリン体は発作と関係ない?
野菜に含まれるプリン体は痛風の発作と関連がないという報告が出ているようです。プリン体が多いはずの豆類、キノコ類、カリフラワーやほうれん草の摂取量と痛風発作とは関連がないようです。甘いドリンクの飲み過ぎが原因かも?
清涼飲料水が痛風を発症させる?
清涼飲料水に多く含まれるハイフルクトースコーンシロップが痛風発症に関連していることが研究で報告されました。痛風予防や発作予防には清涼飲料水を抑えるように勧められるようになりました。ハイフルクトースコーンシロップには、「ブドウ糖果糖液糖」や「果糖ブドウ糖液糖」などがあり、とうもろこしなどのデンプンを酵素反応により、液化・糖化・異性化・濃縮されたものです。食品ラベルを確認しましょう。
お酒の種類に気をつける
ビールを1日に2~3杯飲む人では、痛風を発症するリスクが高くなるといわれています。ビールはプリン体を割と多く含むため、痛風発作の引き金になりやすいようです。痛風になってしまった後は、ビール1本は大丈夫でも、2本目は発作がでるなど、個人差はあるようですが引き金になる量はある程度決まってくるようです。ビールはだめでも、プリン体の量が少ない、焼酎やウイスキー、ワインだと大丈夫な人もいるようです。ただ、お酒はどの種類でも脱水を引き起こすので、飲まないのがベストだと言われています。もし飲む場合は、普段より多くの水を飲む必要があるかもしれません。
水分は不足しないように
十分な水分摂取は痛風発作予防に大切です。飲酒や気候、入浴などによる脱水症状にも気をつけましょう。体重管理
痛風は過体重の人でよくみられるため、体重管理は大切です。痛風発作を予防する
さくらんぼを食べる事で、痛風の発作が減るという報告がいくつかでています。メカニズムとして、さくらんぼの成分が尿酸塩の体内吸収を抑えて、体外への排出を促すという説もあれば、抗炎症効果のためだという考え方もあるようです。野菜をしっかり食べて肉や魚の過剰摂取を避けるべきという意味なのかも・・・。
アルカリ性の食品はどうなの?
アルカリ性の食品が痛風に効くという噂もあるようですが、血液中の酸とアルカリのバランスは体内でしっかり管理されています。血液は少しだけアルカリ性でpHは7.35~7.45です。このコントロールは大変重要なため、食べた物によってそう左右されるようなものではりません。食べるものによって尿のpHには影響を与えるかもしれませんが、血中のpHとは別のものです。基本的に、アルカリ性の食品は植物性の食品です。よって、アルカリ性の食品が痛風に効くというのではなく、酸性の動物性食品やビールを避けて、植物性の食品を中心とした食事をすることで、動物性食品やビールのプリン体を減らし、間接的に痛風の改善に役立つというのは考えられるかもしれません。
要するに、過体重を避けて、野菜をしっかり食べ、肉や魚の過剰摂取を避け、お酒や甘い飲み物はほどほどにする……ということなのかもしれません。