療養食・食事療法/腎臓病・痛風の療養食・食事療法・透析食

糖尿病・腎臓病の調理のポイント

腎臓病と糖尿病の調理のポイントを紹介します。いままで知らなかった情報を知ることができるかもしれません!

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド

今回は、腎臓病、糖尿病の人が知っておきたい調理&食事の準備のコツを紹介します。

腎臓病

調理のポイントをおさえよう!

調理のポイントをおさえよう!

■塩分を減らす
・味付けに工夫する。こちらをどうぞ
・醤油を水や出し汁で薄める(だしわり醤油)
・塩をコーシャーソルト(石塩)にかえる

周りが塩分量を心配しても、当の本人は今までと同じように醤油や塩を使いたがる場合もあります。味見もせずに塩や醤油を使う人に効果的な裏技が、だしわり醤油やコーシャーソルトの使用です。だし汁を醤油に足せば、同じ分量当たりの塩分は減ります。コーシャーソルトも、普通の食卓塩と比較すると、同じ分量当たりの塩分は半分になります。なんとなく調味料を料理に加えている人は、その塩分含有量の違いに気づかず、減塩につながるかもしれません。

■カリウム
・全ての野菜をゆでるのは問題
カリウムを減らすために、野菜を水にさらしたり、ゆでたりすると、水溶性のビタミンである、ビタミンCやビタミンB群まで失われてしまいます。腎臓病の人はビタミンB群が不足しやすいので注意が必要です。ゆでこぼす習慣のある人は、水溶性ビタミンが他の食品から十分摂取できているか、栄養士に相談していましょう。

・ジャガイモはふきこぼす
じゃがいものカリウムは、下準備によって約半分に落とすことができます。これまでの研究によると、一番効果的なのは、薄く切ったイモを室温の水に30分浸して、5~10分ゆでるとカリウムの量が1/4になるそうです。ポイントはイモは薄く切る、室温の水にさらす、たっぷり水・湯を使うです。ゆでこぼすとは、一度ゆでた汁を捨てることです。

・果物は種類に注意
メロン、バナナ、キウイ、オレンジなどはカリウムが多いので控え、代わりにカリウムの少ない、りんご、いちご、パイナップル、缶詰のフルーツなどを使用してみましょう。ただし、スターフルーツは腎臓が悪い人は食べないようにしましょう。カリウムの少ないフルーツを調理する必要はありません。

・玉露以外の一般的なお茶やコーヒーはOK
煎茶の抽出液100g当たりカリウムは27mg、ほうじ茶には24mg、玄米茶には2mg、ウーロン茶には13mg、紅茶8mg、コーヒーには65mg含まれています。一般的な量を楽しむ分には問題ありません。しかし玉露には340mg含まれているので注意が必要です。お茶の抽出法(お茶や水の分量や温度)は、食品データベースに記されています。

・海草はカットわかめが便利
食品成分表を見ると、海草にはカリウムが多く含まれているように感じますが、普通の量なら大丈夫です。例えばカットわかめ100gにはカリウムが440mg含まれていますが、カットわかめは水に戻すとその10倍の重さになると言われているので、戻した状態では1キロ分のわかめに440mgのカリウムが含まれることになります。ただし、素干しのわかめ(乾燥)にはカリウムが5200mg、生のわかめ100gには730mgのカリウムが含まれるので選択時に注意が必要です。

■カロリーアップのために飽和脂肪酸を摂り過ぎない。
マーガリン、バター、生クリームなどを使ってカロリーアップするのはベストではありません。これらの食品には、飽和脂肪酸が多く、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが上がるので注意しましょう。電卓で計算したカロリーに合わせる食事が目的ではなく、より健康的に過ごすのが目的であることを忘れないようにしましょう。油を使ってカロリーアップをする時は、キャノーラオイル(菜種油)やオリーブオイルなどを意識して使うとよいでしょう。

■透析無しでも、むやみにたんぱく質を制限しない
以前は0.4g/キロまで制限していたのが、今では一番厳しい時期でも0.6-0.8g/kgと言われるまで変化しています。たんぱく質制限が有効であるかどうかの最新情報はこちらをどうぞ。


糖尿病

■炭水化物の多い料理は分量を調整
炭水化物はうどん、そうめん、米、イモなどに含まれます。炭水化物は血糖値を上げます。炭水化物は多くても少なくてもよくないので、たんぱく質や脂質と上手く合わせましょう。日本人の食卓は、炭水化物が高めになりがちなので注意が必要です。

糖尿病の食事療法はこちらのみんなの糖尿病ストーリーがお勧めです。

■アルデンテがお勧め
同じ米でも、おかゆなど、時間を掛けて調理したものを食べると血糖値が高くなります。パスタも同じで、軟らかいものよりもアルデンテがお勧めです。

■水溶性食物性食品を料理に多用する
水溶性食物繊維には脂質や炭水化物の吸収を遅らせる働きもあります。よって、炭水化物がゆっくり吸収されるために血糖値の上下が緩やかになります。
水溶性の多い食べ物はこちらでチェック

■GI値の低い食材を選ぶ
グリセミックインデックス(GI)が高い食品は、その食品が消化され糖として血液中に到着するスピードが速くなります。GIの高い食品は血糖値の上昇が高くなります。GI値が低ければスピードが遅くなり、血糖値の上昇度も低目になります。食品のGI値はこちらでチェック。

■酢を使って調理
酢を使うとGI値が下がり、血糖値の上昇を抑えると言われています。酢の物や酢を使った和え物、バルサミコ酢のドレッシングなどを上手く取り入れましょう。酢の利用は血糖値管理以外にも塩分コントロールにも役立ちます。よいと言っても、極端に摂取せず料理を楽しむ程度にして下さい。
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