アレルギーはどれくらい増えている?
西日本疫学調査では、小学校で1992年と2002年に有症率について、以下のように報告しています。病名 | 1992年 | 2002年 |
気管支喘息 | 4.6% | 6.5% |
アトピー性皮膚炎 | 17.3% | 13.8% |
アレルギー性鼻炎 | 15.9% | 20.5% |
アトピー性皮膚炎以外は、全て増加傾向にあるのです。
しかし、アトピー性皮膚炎治療ガイドラインには、以下のような報告がされています。
アトピー性皮膚炎は乳幼児に多い |
年齢 | 有症率 |
生後4ヵ月 | 12.8% |
1歳6ヵ月 | 9.8% |
3歳 | 13.2% |
小学1年 | 11.8% |
小学6年 | 10.6% |
大学生 | 8.2% |
このようにアトピー性皮膚炎は、乳幼児に有症率が高いのです。小学生をメインにした調査では、それまでに治療が完了していたり、自然と治まっていたりします。
つまり、大きな子のアトピー性皮膚炎は減少し、乳幼児のアトピー性皮膚炎は増加しています。乳幼児のアトピー性皮膚炎は約60%が治まってくるので、大きな子供ほどアトピー性皮膚炎を持っている率は下がります。
また、アレルギーの病気が、年齢と共に変わっていくことがあります。その様子がアレルギーが行進しているように変わっていくので、「アレルギー・マーチ」と呼びます。例えば、乳児・幼児に、アトピー性皮膚炎の症状が出てきたとします。すると小学校上がる前ぐらいには気管支喘息が発症。さらに思春期が過ぎる頃に花粉症になる、といった具合です。
(参考「アレルギー・マーチって何だ?」)
アレルギーが増えている原因は?
現代の環境変化が、アレルギーに関与しています。- 衛生仮説
- 住環境の気密性によるダニの増加
- 喘息を起こす大気汚染
- ホルムアルデヒドなどのシックハウス症候群
- タバコ
- 食品添加物
- ストレス
- 過保護による心理的な問題
環境変化がアトピーやアレルギーにも関与 |
「衛生環境の改善や少子化にともなう乳幼児期の感染症リスクの低下がアレルギー増加の一因ではないか」という説です。 一般に、胎児および新生児の免疫はアレルギーになりやすい状態にあるといわれています。
自然の中で、乳幼児期にさまざまな感染症にかかることで、正常な免疫機能の発達を助け、その結果としてアレルギーリスクが低下するのではないかと言われています。
だからと言って、感染症がいいとは言えません。乳幼児期には危険な感染症もありますので、感染症になるのがいいとはいえないのです。感染症は、時には、生命に関わる病気、後遺症を残す病気があります。細菌による髄膜炎は早期に抗生物質で治療しないと、命に関わります。感染症の増加は死亡率の増加につながります。
(参考「キレイ好きはNG?衛生環境でアトピー増加」)
増えたアレルギーは、そのまま遺伝するのでしょうか?
⇒ アレルギーと遺伝>>