食べた覚えはないけれど……
眠りながら食べる、ということもあります
そのため朝になって、ベッドの周りに食べ物が落ちていたり、知らないうちに冷蔵庫の食物がなくなっていたりすることに、納得がいきません。家族や同居人が気づけばよいのですが、泥棒に入られたと勘違いして大騒ぎになることもあります。
この病気の人は、夜中にたくさん食べるので、朝になってもお腹がふくれたままで食欲がありません。睡眠中には、脂肪や炭水化物を多く含むカロリーが高い物を好む傾向があるため、知らないうちに体重が増えていきます。
眠りながら食べ物を探して動き回り、時には調理までするので、ケガしてしまうこともあります。さらには調理していない生もの、ペットフードや卵の殻など食品でないもの、タバコや洗剤など毒のあるものまで口にするので、危険なこともしばしばあります。
夜間の睡眠は浅くなり、目を覚ましやすくなります。そのため日中は、眠気が強くなり、集中力が低下したり、作業の能率が悪くなったりします。ダイエット中にこの病気が出ると、夜間の飲み食いを自制できなかったことに負い目を感じ、次第にうつ状態に陥ってしまうこともあります。
若い女性は要注意
美味しい物を食べる夢を見ていたら、現実でも……
子どものときから症状があったり、中年期に発症することもありますが、ほとんどの人が20歳代で病気が始まっています。性別では、目覚めているときの摂食障害と同様に、女性が大半を占めています。
睡眠時遊行症を合併することが多く、睡眠中の異常行動の1バリエーションとして飲食するのが睡眠関連食行動障害ではないか、と考えられています。ただし、この病気が女性に多いことから、女性特有の精神の構造が関係している可能性も指摘されています。
よく似た病気として、夜間摂食症候群があります。睡眠関連食行動障害は飲食中も睡眠状態であるのに対し、夜間摂食症候群は、完全に覚醒した状態で普通のものを飲み食いし、朝になってもその記憶があるところが違います。
まずは、ストレスを減らしましょう
安心して眠るためには、ストレス対策が重要です
睡眠薬などが睡眠関連食行動障害の原因となっている疑いがあれば、その薬を止めます。無理なダイエットの反動でも発症するので、ダイエットはほどほどにしたほうが良さそうです。
ストレスや喫煙、アルコールも、睡眠関連食行動障害の誘因となります。ストレスを減らすことが難しいなら、うまくストレスを発散する方法を見つけましょう。タバコやお酒でストレス解消しようとすると、なおさら悪くなりますから気をつけてください。
病院での治療としては、抗けいれん薬のトピラマートやゾニサミド、クロナゼパム、パーキンソン病治療薬のプラミペキソールなどが使われます。ただしこれらの薬は、薬自体が日本で承認されていなかったり、睡眠関連食行動障害が保険適応になっていないため、処方してもらう前に医師とよく相談する必要があります。
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