3月は自殺対策強化月間
弥生、3月、春、桜。みんな幸せに、暮らしたいですね。
わが国における自殺者数は、平成10年から12年連続で3万人を超えています。そのため、政府は3月を「自殺対策強化月間」と定めています。
鳩山由紀夫首相も、「(自殺する前に)送っているメッセージを、受け止められる仕組みをつくりたい。また、メッセージを出さないで済む世の中にしないといけない。政府として、正面から取りかかっていく」と語っています。
年齢別の死因順位を見ると、15~39歳では自殺が1位で、40~49歳で2位、10~14歳と50~54歳で3位となっています。自殺者の総数では、中高年男性の自殺が多く、50歳代がピークになっています。また、40~50歳代の男性では、自殺はガンや心疾患、脳血管疾患の三大死因に匹敵する問題です。
自殺の原因で最も多いのは、うつ病です。平成20年の自殺者では、うつ病がきっかけとなった人が27.6%、次いで身体の病気が21.8%、多重債務が7.4%でした。自殺者を減らすためには、うつ病の人を早く見つけることが大切ですが、そのポイントが睡眠にあることが分かってきました。
睡眠障害とうつ病の悪循環
「うつ病は心の風邪程度」などと、安心していられません
うつ病の主な症状は、憂うつや沈んだ気分が続き、物事に対して興味が持てず、楽しめなくなることです。しかしこれらの症状は、本人が自覚しにくく、家族や周りの人も気づきにくい傾向があります。
そこで今、注目されているのが、うつ病と睡眠の深い関係です。
急性期のうつ病では約90%の患者さんに、入眠障害(寝つきの悪さ)や早朝覚醒(朝、早すぎる時刻に目覚めてしまう)などの睡眠障害が見られます。また、不眠を訴えて受診した患者さんのうち、約20%がうつ病などの気分障害と診断されています。さらに、治療によってうつ病の他の症状がほとんど治っても、60~70%の人に不眠が残ります。このように、睡眠障害はうつ病の重要な症状の1つです。
一方、不眠がきっかけとなって、うつ病にかかることもあります。それは、不眠が慢性化するとストレスに対抗するため、脳の視床下部‐脳下垂体‐副腎皮質系の活動が盛んになって糖質コルチコイドが増え、うつ病や不眠をさらに悪化させるためと考えられています。また、うつ病の罹りはじめから睡眠障害が強く、不眠が長期間続く場合は、再発の危険が高い重度のうつ病の可能性があります。
自殺予防のための睡眠キャンペーン
睡眠キャンペーンのポスター(内閣府作製)
睡眠キャンペーンのメインコピーは、「お父さん、眠れてる?」です。働き盛りの中高年男性の自殺を少しでも減らしたい、という願いが込められています。
2週間以上続く不眠は、うつ病の可能性がありますから、気をつけてください。うつ病をほうっておくと、自殺につながりかねません。このような場合には、早めにそして強く、精神科医への受診を勧めましょう。
精神障害による自殺で労災認定された51例の分析では、自殺したときにうつ病に罹っていた、と判断された人が92%に上りました。しかし、精神科を受診しうつ病の治療をしていた人は、わずか20%しかいません。また、自殺者の71%が、うつ病の発症から3ヶ月以内に死亡しています。
家族や友人に何か変わったことがあれば、ためらわずに「眠れていますか?」と尋ねてあげてください。この一言が、皆の幸せにつながるはずです。
【関連サイト】
自殺対策・睡眠キャンペーン
精神科検索
不眠・睡眠障害の基礎知識
うつ病サイト
ストレスサイト