やせていることがしょうさ社会の風潮が、拒食症の発症に深く関与しています

ダイエットの成果に満足できず、「もっともっとやせたい」という過剰な願望がわき始めたら要注意

ダイエット目的などで、空腹でも食事を制限する人は少なくありません。しかし、この制限や食べることへの恐怖感や罪悪感が行き過ぎると、心の病気である拒食症を発症することがあります。

拒食症は正しくは「神経性食欲不振症」と呼びます。原因と症状について詳しく解説しましょう。

拒食症の原因

拒食症は主に10~20代の若い女性に見られる病気。男性の発症率は思春期の女性の1%程度ですが、拒食症の1割前後を占めています。

拒食症が始まるきっかけは個々人で違いますが、当初は軽いダイエットのつもりだったものがエスカレートすることが多いようです。周囲からダイエットの成果を賞賛されるなどのきっかけによって、体重減少への熱意に異常に拍車がかかってしまうケースが多く見られます。

拒食がエスカレートする背景として、思春期の願望と現代の社会的な風潮は無視できません。思春期は少女から大人の女性への移行期で、自己のアイデンティティを確立する大切な時期。容姿や異性に対する意識も高まりやすいため、女性としての外見の魅力を高めることも、程度の差はあれど目標の一つになります。さらに現代社会ではやせていることが賞賛される風潮が強く、やせなくてはダメだという社会的プレッシャーを感じがちです。思春期の強い願望と社内的なプレッシャーから、極端なダイエットに走ってしまうケースは少なくありません。

また、自分の外見へのコンプレックスや特殊な家庭環境、完璧主義的な心理傾向や心理的問題が絡むと、魅力的になるためにやせなくてはというプレッシャーが増幅することが多いです。体重を減らすという目標は結果も分かりやすく出やすいので、自分に自信を持つための手ごろな目標になりやすい面もあります。

拒食症の症状・診断

拒食症の主な症状は、食べること、太ることへの強迫観念と、それに伴う極度の低体重です。通常のダイエットで当初の目標体重を達成し、他人にはすでに十分やせた外見になっていても、本人にとってはまだまだ十分ではなく、あと○kg減らそうと次々に目標をエスカレートさせてしまいます。

太ることへの恐怖や低体重へのこだわりが強迫観念化してしまい、治療を受けて適正体重に戻すことが心理的に耐えられないなど、治療自体を拒否するケースも少なくありません。拒食症が重症化すると食欲自体がなくなり、体も食べ物を受けつけなくなってしまい生命の維持が危険にさらされます。著名人では『カーペンターズ』のカレンさんがこの病気で命を落としてしまったことは、あまりにも有名です。

上記のように、太ることへの恐怖感が強迫観念化していて、身長と年齢に基づく適正体重を15%以上下回るほど顕著な低体重になっている場合、拒食症と診断される可能性が高くなります。

ダイエットでは済まない……拒食症が招く広範なリスク・症状

拒食が進み栄養失調が著しくなればなるほど、また、食べた物を外に出すために下剤や利尿剤の使用や嘔吐を繰り返せば繰り返すほど、以下のような広範な症状が出現してきます。

■拒食に伴う落ち込み・心の問題
  • 抑うつ症状……拒食症では気分の病的落ち込みを伴いやすく、自殺のリスクにも注意が必要です。

■栄養失調による身体的問題
拒食症では、生体活動を支える栄養摂取が顕著に不足するので、体内の生理活動がさまざまな支障を起こしてしまいます。身体所見として、「筋肉量の減少」」「浮腫、むくみ」「貧血」「血中電解質の異常」「脱水」「産毛の発生」「35度以下の低体温」など、広範な所見が出現し、さらに以下のような身体的問題が起こってきます。

  • 無月経……低栄養により女性ホルモンのバランスが崩れ、月経が止まる
  • 不整脈……心筋量の減少や血中電解質バランスの異常で、心臓の電気的活動が異常を生じ、突然死の原因にもなる不整脈が起きやすくなる
  • 骨そしょう症……骨密度が低下し、骨折しやすくなる
  • 白血球数の減少……風邪など感染症への抵抗力が低下する
  • 味覚異常……亜鉛不足が原因と考えられる味覚異常で、味がわからなくなる
  • 歯のエナメル質の侵食……歯がボロボロになってしまう

以上のように、拒食症は心身に広範かつ深刻なダメージを与えます。ダイエットの延長として軽く考えるのは大きな間違い。もしも、家族や身近な人のダイエットが行き過ぎているように見え、食行動にも以前見られなかったような異変が見られたら注意が必要。

家族と一緒に食事をしなくなった、与えられた食事をこっそり捨てている、わずかな分量の食べ物をさらに細かく分け儀式的に食べるなど食べる様子に違和感があるなどの異変に気付いたら、拒食症がエスカレートしている危険があります。体に大きなダメージが起こる前に、精神科(神経科)を受診させるようにしましょう。

「拒食症」の治療法についてはこちらです。


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