食べることへの恐怖から、適切な治療を拒否してしまうこともある拒食症。正しく自分を把握して、体調を戻すことが大切です

食べることへの恐怖から、適切な治療を拒否してしまうこともある拒食症。正しく自分を把握することが第一歩

正しくは「神経性食欲不振症」という拒食症。主に10~20代の若い女性に見られ、適正体重を維持するために必要な栄養摂取を拒否してしまうのが大きな特徴です。

拒食症はダイエットの延長にあるものと思われがちですが、心身に与えるダメージは非常に深刻。心の病気の中でも、特に命に関わる深刻な病気として扱われています。

今回は拒食症の治療法を詳しく解説します。

入院による拒食症治療

拒食症で最も問題となるのは、低栄養による身体衰弱。適正体重の85%を下回る低体重になると、栄養失調のために体内のホルモンバランスが崩れ、生体活動を支えている骨格筋、内臓筋、脂肪組織が減少してしまいます。体を維持する機能が大きなダメージを受けるため、無月経、徐脈、低体温などの広範な心身症状が出現し、放置すると体内の生理活動がしっかり機能しなくなり、生命維持が危険になることもあります。

拒食症の治療では、まず栄養失調によって損なわれた身体機能を回復させる必要があります。低体重の程度が顕著であればあるほど、栄養失調状態から抜け出すために入院が必要です。標準体重を30%以上下回る場合は、緊急入院することになります。

入院中は萎縮した胃腸に急激な負荷をかけないよう、1回の食事の摂取カロリーと1日の食事回数のスケジュールが決められます。さらに嘔吐や下剤などによる無理な排出がないよう確認しながら、目標とする体重増加が進められます。栄養状態が改善に伴い、月経などの正常な生理活動が機能し始め、不眠症、便秘などの不快な症状も自然に改善することが多いです。

心理療法、薬物療法による拒食症治療

栄養失調状態から抜け出して身体機能が回復すれば、退院することができます。退院後は拒食を招いた心理的問題に対しての治療を行います。例えば体重増加への過度の恐怖や歪んだボディイメージ、家族との葛藤などによるストレスに対処するために心理療法を受けることが望ましいです。

拒食症の場合は、うつ病を始めとする心の病気が合併することが少なくないので、必要があれば薬物療法も行います。低栄養状態では治療薬の副作用が増幅しやすいので、治療薬の選択は通常よりも慎重になる必要があります。医師の正しい診断を受けて治療を進めましょう。

拒食症治療の問題点

拒食症と他の病気の違いとして、患者自身が治療を望まないケースが少なくないことが挙げられます。拒食の原因となる体重増加への恐怖や歪んだボディイメージが心に深く根付いてしまうと、患者自身が治療の必要性を感じず、治療による体重増加にも拒否反応を起こすなど、治療効果を大きく損なってしまうことがあります。

拒食症から回復するためには、本人が治療の必要性を認識するのが第一。不本意ながら治療されるのではなく、自分自身が回復したいという意思を持てるようになることが大切です。過剰な不安や思い込みなどの心理的問題を乗り越えるためには、心理療法が有効。家族など周囲の人たちからのサポートは治療効果を高める上で大切な要素なので、家族も拒食症を理解することが欠かせません。

拒食症が疑われるほどの低体重でなくても、もし家族が過剰なダイエットを行い、家族の心配に聞く耳を持たないなどの前兆が見られる場合は、なるべく早い段階で精神科(神経科)で相談し、治療が必要な状態かどうか確認することをお薦めします。
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