虐待してしまう心理……虐待が多い家庭状況とは

過去の傷や風評は気にするなかれ。いまの心の状態に目を向けよう
子育てをしている人には誰でも経験する可能性のある「虐待」の危機
では、いったいどんな人が児童虐待をしてしまうのでしょう。東京都保健福祉局の『児童虐待の実態2』(平成17年)によると、虐待が行われた家庭の状況は、以下のような順になっています。(1~5位のみ記載)

1位 ひとり親家庭
2位 経済的困難
3位 孤立
4位 夫婦間不和
5位 育児疲れ

この家庭状況からも、家族の支援を受けられず、また周囲から孤立して孤独のうちに育児をしているなか、そのストレスに押しつぶされ、子どもにストレスをぶつけて虐待に至ってしまうというケースが多いように思われれます。

とはいえ、こうした「追いつめられた末の虐待の危機」は、円満な家庭環境で育児をしている人の中にも、心当たりを持つ人は多いのではないでしょうか? たとえば、疲れがたまっていると子どもを叱るときの語気が強くなったり、いつもは気にならない子どもの行為にヒステリックに反応してしまう――こうしたことから、虐待の危機を予感し、我に帰った人は少なくないと思います。

虐待は、「ある特別な状況に置かれた人」が行う行為だと限定されるものではありません。幼い子どもの心は、自分本位な欲求のかたまりです。そうした幼い子どもの欲求に対応し、子どもと密着して生活しているうちに精神的に追いつめられ、湧いてくる不満や怒りをどう処理していいのかわからなくなる――こうしたことから、自分でも気がつかないうちに虐待的行為へと向かってしまうこともあります。

とはいえ、虐待はけっして放置してはいけないものです。虐待によって与えられる傷は、子どもに深いトラウマを残し、健全な心身の発達に影響を及ぼしてしまうからです。