花粉症対策に重要な睡眠。しかし花粉症が原因で不眠・過眠も

花粉症

花粉症と睡眠には、深い関係があります

花粉の季節になってきました。花粉症によるくしゃみや鼻づまりの症状がひどいと、なかなか寝つけなかったり、寝ている途中で目が覚めてしまって熟睡できなかったりと、睡眠障害に悩まされることがあります。また、花粉症の薬を飲むと眠くなるので、症状がつらくても薬を飲まずに頑張っている人も多く見かけます。

私自身、花粉症歴30年以上でこれまで多くの薬を試してきました。今回は、花粉症に悩む方々に、症状の軽減効果が期待でき、眠気の副作用をあまり起こさず、ご自身に合ったものを見つけていただく手がかりになるよう、それぞれの薬の基本情報と特徴を簡単にご紹介します。

花粉症治療の切り札「副腎皮質ステロイド」

花粉症によるくしゃみや鼻づまりのために眠れない状態は、花粉症の中でも最重症といえます。花粉症の標準的な治療方法をまとめた「鼻アレルギー診療ガイドライン 2016年版」では、最重症の患者には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬とともに、副腎皮質ステロイドを4~7日間、内服することが勧められています。つまり、副腎皮質ステロイドは、花粉症治療の最後の切り札とも言えるでしょう。

副腎皮質ステロイドは、気管支喘息(ぜんそく)や膠原(こうげん)病などのアレルギーが原因の病気の治療にも、広く使われています。これはもともと、腎臓の上にある「副腎」という器官から分泌されているホルモンで、炎症やストレスから体を守ってくれているものです。作用は強力で、薬を飲んでから半日から2~3日後には、効果が実感できます。

ただし、効果が高い分、副作用にも少し注意が必要です。内服薬を短期間だけ使用するときには起きにくいですが、月経の異常や糖尿病の悪化などの副作用が出ることがあります。副腎皮質ステロイドの使用や中止にあたっては、花粉症の専門の医師と十分に相談してください。

薬の数を少なくしたい人に向いている「セレスタミン」

photo:松田陽司
花粉症の症状に睡眠障害が加わると、とても大変です。一刻も早く、しっかりと治療しましょう!
「飲む薬の数を、なるべく少なくしたい」という方のためには、医師の処方箋が必要な薬ですが、セレスタミン(高田)が向いていると言えるでしょう。

これは抗ヒスタミン薬と副腎皮質ステロイドの2つの成分が、1粒の錠剤の中に含まれています。また、副腎皮質ステロイドは苦い薬が多いのですが、このセレスタミンはあまり苦さを感じません。

私も抗ヒスタミン薬の効果が弱くて、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみに苦しめられた年がありました。しかし、セレスタミンを飲み始めた翌日には、つらい症状のほとんどがなくなり、自分がこんなに効くのならもっと早くから飲めばよかったと驚いたものです。

しかしセレスタミンはとても良い薬なのですが、注意も必要です。飲んだ後に眠くなることがあります。自動車の運転など危険を伴う機械の操作は控えてください。飲み続けると体が薬に慣れてきて、眠くなくなることもありますので、医師と相談しながら治療を進めると良いでしょう。

また、副腎皮質ステロイドは、高血糖や肥満などの副作用を起こすことがあります。セレスタミンを飲むのは、症状が強い時期だけにしておきましょう。

昼間の眠気がつらい人は「第2世代の抗ヒスタミン薬」

うたた寝
昼間の眠気の原因は、春の気候ばかりではありません
花粉症の人が悩まされる日中の眠気の原因は、大きく分けて2つあります。

1. くしゃみ・鼻づまりで夜によく眠れず、睡眠不足になって日中も眠い
2.花粉症の薬の副作用で眠い

1への対策については、上で解説しました。ここでは、2の花粉症の薬自体による眠気の解決方法をご紹介します。

薬局で買える花粉症の市販薬は、飲んだ後しばらくすると眠くなることがよくあります。それは、薬局の薬の多くが、第1世代の抗ヒスタミン薬だからです。

第1世代というだけあって、これらの薬は以前から使われていて、効果があることは実証済みです。しかし、眠気の副作用が出る割合は、病院でもらう第2世代の抗ヒスタミン薬に比べて数倍です。

眠気の少ない第2世代の抗ヒスタミン薬の中でも、特にアレジオン(ベーリンガーインゲルハイム)やエバステル(大日本住友・明治製菓)、タリオン(田辺三菱)などの薬は、眠気の発生率が2%未満と極めて少ないことが、副作用の調査で分かっています。

また、クシャミや鼻水はそれ程でもないけれど、鼻づまりが強い方には、バイナス(日本新薬)やオノン(小野)、アイピーディ(大鵬)などが適している場合があります。

これらの薬は、花粉症に関する物質でヒスタミン以外のもの、例えばトロンボキサンやロイコトリエンなどの働きを抑えます。ヒスタミンには関係しないので、眠気が出ることはほとんどありません。

1剤でクシャミと鼻水、鼻づまりの3症状を改善してくれる薬もあります。ディレグラ(サノフィ)です。この薬には第2世代抗ヒスタミン薬と、血管を収縮する作用がある交感神経刺激薬が入っています。

薬局で買える漢方薬や局所薬を試す方法も

半夏(photo:ツムラ)
漢方薬は、病院でも処方されています
どうしても病院へ行けない場合には、薬局で買える漢方薬や目薬・点鼻薬などの局所薬を試してみるのもよいでしょう。

一般的に作用がマイルドと思われがちな漢方薬ですが、薬が体質に合えば、早くから十分な効果が得られます。

鼻水が水っぽくて、たくさん出るタイプの人には、小青龍湯(しょうせいりゅうとう)。一方、鼻水は少なめでネバネバしているタイプの方には辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)が適していることが多いようです。

また、症状があるところにだけ薬を効かせたいと思っている方は、目薬点鼻薬を使ってみてください。これらの薬は内服薬よりも局所に対する作用が強いことが多いのですが、眠くなることはまずありません。

目薬は目がかゆくなる前に、点鼻薬は鼻水が出たり鼻がつまる前に使いましょう。特に鼻の場合は症状が出てから使っても効果はあまり期待できませんので、早めの使用がよいでしょう。

今回は、花粉症による睡眠障害の治療薬について、ご紹介しました。適切な時期に必要十分な薬を使うことが、快眠へ大切なのポイントです。医師や薬剤師に相談しながら、あなたに一番合う薬を見つけてください。
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