メンタルヘルス/その他の心の病気

なぜ人は占い・迷信を信じてしまうのか(2ページ目)

縁起を担いだり、迷信や占いを信じたりといった非科学的な思考のことを、「魔術的思考」といいます。この考え方が過剰になると、心の病気の症状になってしまうこともあります。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

迷信・占いに走ってしまう時

例えば、占いに行きたくなる時を考えてみましょう。心が安定している時は、わざわざ占いには行かないのではないでしょうか。落ち込んでいる時や、ストレスを感じていて心が不安定な時が多いと思います。恋愛運を占ってみたり、健康運を占ってみたりして、もしも今より良い結果が聞けたら、うれしいですよね。自信が付いたり、不安が和らいだりすると思います。

魔術的思考は、非科学的であるとは言え、このように良い面もあります。大抵の人は、縁起を担いだり、迷信・占いといった魔術的思考を生活に支障が出ない範囲にとどめているのですが、時には、魔術的思考が心を占めてしまう場合があります。

一例として、何かをする前に、おまじないとして、あるフレーズを心の中で唱える人がいるとします。これが、もし、スポーツ選手が大事な局面、例えば、野球で打者が打席に付いた時、集中力を高めるためといった目的の時は、問題ないでしょう。

信じすぎの弊害

しかし、信じすぎるあまりに、日常のちょっとした時、おまじないの言葉を心の中で唱えないと、不安が収まらないようになったとしたら問題です。例えば、横断歩道を渡る時や、他人と挨拶を交わすだけでも、大変になってしまいます。さらに、唱えるのが一回だけでなく、何度も何度も心の中で唱えなくては、不安を解消できないようになってしまったら、日常生活には大きく支障が出てしまうでしょう。このような不安を除くための儀式的行動は、強迫神経症の特徴的な症状です。脳内の神経伝達物質のバランスの乱れが病気の発症に関与しています。

魔術的思考は、未知なものに惹かれる人間の性質と言える面があるかもしれません。何でも科学的に説明されるようになったら、味気ないですよね。でも、魔術的思考にのめりこんでしまう時は、心に問題を抱えていることが多く、強迫神経症のように、精神科を受診すべき時もあるので、ご注意ください。


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