せっかく希望どおりの会社に入ってもすぐに辞めてしまう人、仕事はバツグンにできるのにどうしても出世できない人はたくさんいます。
今回は、前回好評だった「会社が苦痛なのはなぜ?」のテーマに引き続き、"できるタイプ"が意外にも会社でなぜうまくやっていけないのか、永井隆雄さんにうかがいました。



---学生時代にはいつも成績トップ、みんながうらやむような会社に入ったのに、あっさり辞めてしまう人って意外に多いですよね。

もちろん、自分の職業分野を変えたい、やむにやまれぬ事情があるなど退職の事情は人それぞれです。しかし、ちょっとしたトラブルや注意された言葉に我慢ができずに、すぐに辞めてしまうタイプの人は優秀な人には意外に多いですね。

---つまり会社という集合体に合わないために、いつまでも転職をくり返してしまうわけなんですね。

そうです。学力やスキルと組織への適合力はまた別なものなので、"学力やスキルの優れた人=組織適合力の高い人"とは限らないのです。若いとまだこの点がわからない人が多いので、与えられた仕事の出来、不出来のみで能力を測り、優秀な人ほど自分を過信して周りの意見を真摯に聞かなくなってしまうことがあるようですね。

---程度の差こそあれ、そういう部分は若いうちには誰にでも心当たりがあるでしょうね。社会生活を長く送っていくうちに、学力やスキル以外の能力の大切さに気づいていくわけですが。

しかし、学力やスキル以外の能力は意外に重要で、実際に採用時は組織適合力のほうが重要視されることが多いのです。ちなみに、企業の採用担当者に「どんな人材がほしいですか?」と聞くと、「チームワークがとれる人」「メンタルがタフな人」などと答えることが多いですね。

最近は、「コンピテンシー」という行動特性の評価システムが注目されていて、これを採用する人材のモデルにする企業も増えてきています。

---コンピテンシーとはどんなものですか?

高業績者、つまり社内で活躍している人の行動特性のことで、こうした特性を抽出した人材評価システムが人事ではよく利用されています。具体的にはこのようなモデル表をチェックシートに落とし込んで使用しており、達成意欲、イニシアティブ、チーム志向性、野望性などの要件を満たしているほど好ましいとされています。

日本の企業ではいままで、社員の労働意欲を高めるために利用されることが多かったのですが、現在では入社試験に使用するのが主流になってきています。

---なるほど。では、こうしたコンピテンシーをもつ人がたくさん集まれば、社内に優秀な人材が増え、パフォーマンスもアップするというわけでね。

いいえ、実際はそう簡単にもいかないのです。というのも、高業績者になるための特性を十二分に備えていても、入社後、期待通り高業績者になるとは限らないからなんです。なぜなら、高業績者になる条件を満たす能力のある人材でも、放っておかれてはせっかくの能力が磨かれないからです。

---つまり会社に高業績者になるための教育が整ってないと、宝のもちぐされになってしまうというわけですね。

そうです。しかもこの場合、人事部で用意したお決まりの教育システムでは意味がありません。新人の場合、配属先の上司や先輩から受ける直接的な指導が重要なんです。そして、そうした指導をバカにせずに受けられるかどうか、つまり「順応性」、つまり素直さがあるかないかが、今後組織で成長できるかどうかのカギとなります。

一般的にいえば、何かをするときに上からいろいろ細かく言われるとすぐにやる気をなくしてしまうようなタイプは順応性が低く、自分の考えがあっても上司や先輩などの専門的な人の意見だとそのまま受け入れてしまうようなタイプは順応性が高いと考えられます。


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