お金に堅実すぎても、浪費しすぎても不安が生まれる
あなたのお金の使い方は、堅実な方ですか? それとも、浪費しがちな方ですか? お金とのかかわり方を学ぶことは、人生において最も大切な課題の一つです。しかし、ときに人は欲望に任せて無駄な買い物をして後悔したり、お金を失うことを恐れて本当に価値のある消費ができなかったりするものです。そして多くの人は「いつになったらお金とのよい関係をつくれるのだろう?」と思案しているうちに、年齢を重ねてしまうものなのかもしれません。お金は本来、私たちの人生を活性化させ、幸せにしてくれるものであるはず。しかし、付き合い方を間違えると、人生を負のスパイラルに陥れるものに変わってしまう場合もあります。また、お金は衝動的に使ってしまったり、減らさないことや増やすことにこだわりすぎたりしても、不安が生まれてしまうのです。
お金に対する不安が強い場合、まずは自分の不安を生み出す行動はどのようなものなのか、振り返ってみましょう。次の2タイプの行動パターンの中から、自分に近いものを見つけ出してみてください。
タイプ1:お金を使いたい衝動から不安を生む行動パターン
1. 外面重視・ブランド志向自分をより大きく見せるために、多くのお金を消費してしまいます。たとえば、持ち物をブランド品にこだわりすぎると、外面を保つために稼ぎ・大きく消費する、というループにはまり、生活のバランスを失いやすくなります。
2. 買い物によるストレス発散
物を買う時の快感に夢中になり、買い物をし続けてしまいます。特に、仕事で多忙な生活を送っている方には、ストレス解消の手段として衝動買いをする方が多く見られます。買い物をしている時には快感で満たされますが、貯蓄残高を見たり、クレジットカードの請求書が届くと極端に後悔してしまいます。
3. 無計画な浪費
目的のある消費、計画的な購入計画ができず、そのときの気分で消費をしてしまいます。購入する際には既に持っているものとのバランスを吟味せず、ぶらりとウインドー・ショッピングをしながら、その時の気分でときめいたものを買ってしまいます。無駄な買い物でお金を浪費し、本当に必要なものにお金をかけられなくなってしまいます。
タイプ2:お金にこだわることで不安を生む行動パターン
1. 過剰な貯蓄お金を失うことを恐れて、極度に消費を避けたがります。貯蓄金額が増えるたびに「安心のハードル」も上げてしまうため、結局、いつまでたってもお金の不安はなくなりません。たとえば、老後資金の目標金額を達成したとしても、老後の不安を煽る情報を目にすると「この貯蓄額ではまだまだ安心は得られない」と感じてしまいます。
2. 徹底的な金銭管理
計画通りに金銭管理ができないと不安になり、計画外の出費があることが強いストレスになります。そのため、たとえば突発的なお付き合いへの消費は極力避けたくなりますし、急な病気や事故、物品の故障などで予期せぬ出費が生じたりすると、とても不安になってしまいます。
3. 投資への傾倒
投資によってお金を増やすことに関心の多くが向けられ、マーケットや景気の動向に一喜一憂し、気持ちの落ち着く場がなくなってしまいます。余裕をもって資産運用に臨むことができていない場合、このような心境に陥りやすくなります。
お金の不安に振り回されないためには、「極端」にならないことが大切
みなさんは、「タイプ1」と「タイプ2」のどちらに近いですか? また、これらの2つのタイプが混合している方も多いでしょう。つまり、ある時期までは「タイプ1」で無計画に浪費して、その反動で「タイプ2」に変転する方。さらにその反動で「タイプ1」に戻る、というループにはまっている方も少なくないものと思います。
これら2つのタイプのように、お金は無計画・無目的に使うことでも、計画にこだわって細かくなりすぎることでも、不安は生まれてしまいます。とはいえ、お金の不安に効く薬があるわけではありません。お金と不安なく付き合っていくために必要なのは、バランスの調整です。つまり、消費、貯蓄、投資のいずれも、極端にならないように調整することが重要なのです。
では、バランス調整はどのようにしたらよいのでしょう? 「タイプ1」に近いと思った方は、もっと計画的にお金を使うように意識し、収入と支出のバランスを検討してみることが必要です。そして、必要ではないものにお金を使いすぎていないか、振り返ってみることが大切です。「タイプ2」に近いと思った方は、逆に当初の計画にこだわりすぎないこと、資金計画にゆとりをプラスしてみること、そして時には楽観的になることが必要です。
いずれのタイプも、お金から生じる不安に気づいた時には、その不安におびえないことです。不安は「バランスを調整する時期」を知らせてくれるサインであると捉え、できることからバランスの調整を始めていきましょう。