食べ合わせって迷信?
よく耳にする食べ合わせには、「鰻と梅干し」「スイカと天ぷら」「カニと柿」などだと思います。こうした「食い合わせ」は、もともとは古代中国の陰陽五行説に基づく思想から生まれた「食養生」や「食禁」が日本に伝えられ、奈良時代から平安時代に「律令」や「医療」に取り入れられたり、また江戸時代には貝原益軒が著した「養生訓」で一般大衆にも食い合わせが広く知られるようになったと言われています。冷蔵庫もなく衛生状態の悪い昔とは状況が異なる現代では、医学的に根拠がなく、これらの食い合わせを恐れる必要はないと言われています。けれども、こうした組み合わせを見てみますと「消化の悪いもの(油っぽいもの、固いもの)」、「体を冷やすもの(水分の多い野菜など)」の例が多くあります。また「鰻と梅干し」のように、口当たりや相性がよい組み合わせは食べ過ぎることを戒めたのではないかと推察される内容もあり、参考になる部分もあると思います。
栄養学的吸収・消化をアップするもの
ここでは、主にビタミンやミネラル等の栄養素の吸収を促す組み合せをご紹介しましょう。・ビタミンB1+硫化アリル
タマネギやネギ、ニンニクの仲間に含まれるにおいの元となる硫化アリルという成分は、ビタミンB1の吸収を促進します。ビタミンB1は、ブドウ糖のエネルギー代謝に関わるので、不足すると疲労しやすくなります。
・ビタミンC+鉄分
鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があります。動物性食品に含まれているヘム鉄は吸収されやすいのですが、植物性食品に含まれている非ヘム鉄は吸収されにくいという違いがあります。非ヘム鉄は、ビタミンCや動物性タンパク質も鉄分の吸収を高めます。ただし、動物性タンパク質と言っても、肉、魚は促進しますが、牛乳、チーズ、卵にはこの作用がありません。
・カルシウム+タンパク質、ビタミンD、クエン酸
タンパク質を構成するアミノ酸の中でも、特にリジン、アルギニンがカルシウムの吸収を促進します。またビタミンDは、カルシウムの吸収を促し、骨に沈着するのを助けます。ビタミンDは、魚や、日干しされた乾物などにも含まれています。骨ごとたべられる小魚の干物は、同時にカルシウム、タンパク質、ビタミンDがとれます。またクエン酸の作用により、カルシウムが吸収されやすくなりますので、レモンやユズ、スダチを干物に書けるのもよい組み合せです。
・カロテン・ビタミンA+油脂
カロテン・ビタミンAは、脂溶性ビタミンですから、油脂と一緒にとると吸収がよくなります。ホウレンソウやカボチャの油炒めはよい組み合わせです。