奈良時代のカキは、渋柿ばかり
カキは、縄文・弥生時代の遺跡からその種が出土し、「古事記」や「日本書紀」にも登場していますが、私たちが見慣れているような大きさのカキは奈良時代以降に中国から渡来したと考えられています。ただし、その渡来したカキは、どれも渋柿です、平安時代の「延喜式」に宮中祭礼の供え物に熟柿や干し柿が用いられたと記載され、すでに干すことで渋柿を甘くして食べる方法が確立されていたようです。その後鎌倉時代には、日本で改良された甘柿が登場しています。
干し柿の種類
干し柿にも、形状や干し加減により、様々な呼び方があります。・串柿・・・竹串に刺して干したもので、やや小型の柿を使い、鏡餅に飾られます。鏡餅のお飾りに何を使うかは、公家、武家の流れや地方などにより様々ですが、一例としては、鏡餅の餅は鏡、橙は玉、そして串柿は剣を表し「三種の神器」を構成しているそうです。また1本の竹串に10個の干し柿を刺し、両端に2個ずつ、真ん中に6個を置くため「外はにこにこ、仲むつまじく」という語呂合わせで、家庭円満の願いが込められているという説もあります。
・巻き柿・・・イオウ薫製にして乾燥させ、種をとり、いくつか重ねて竹の皮で巻き、わら、縄で巻き干したもの。
吊るし柿・・・縄や意図で吊るして干したもの。
あんぽ柿・・・干し柿の残っている水分が50%前後のやわらかいもので、白い粉はあいていません。とろりとした舌触りが人気です。
ころ柿・・・1月干して残っている水分が25~30%程度になり、表面に白い粉がついたもの。むしろなどの上で天日で乾燥させるときに、柿全体に太陽があたり、また形が整うように、転がしたことからこのように呼ばれています。
お菓子に、料理に、健康茶に
おせちのなますに使うのはもちろん、柿餡などの和菓子に、またドライフルーツと同様にパンや焼き菓子、ペーストにしておいてドレッシングに、自然の甘味を生かして様々な料理に使えます。他にも民間療法では、生のカキは体を冷やすのですが、干し柿は日にあたることで内臓を温める作用があると言われ、胃腸の働きを整え、疲労回復に役立つと言われています。また干し柿の表面にふく白い粉は、果糖とブドウ糖が結晶化したものですが、漢方では「柿霜」と呼ばれ、咳止めや痰を取り除く効果があるとされています。
干し柿を煎じて風邪の手当てにしたり、韓国でもシナモンやショウガなどのスパイスなどと一緒にブレンドしたお茶にして飲まれているそうです。
日本古来のドライフルーツの干し柿を、いろいろな味わい方で楽しんでみてはいかがでしょうか。
自家製干し柿を作ってみたい方は、かなり気が早いですが、今年の秋にチャレンジされてはいかがでしょうか。干し柿の作り方は、ホームメイドクッキングガイドさんが、ご紹介しています。
参考/
■カキ(広島工業大学)
■柿の成分と効果(国際学院埼玉短期大学)
■医者いらずの食べ物事典(PHP研究所)
■食材健康大事典(時事通信社)
■栄養成分バイブル(主婦と生活社)
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