モモは長寿の象徴
モモの原産地は、中国の黄河上流の高原地帯とされ、古くから長寿の食べ物として知られています。お祝い事の縁起物として桃のおまんじゅうがよくでるのはこのためです。また日本では邪気を払うということで、おひな祭りなどに飾られます。モモは、中医学の生薬としても、花、葉、種の中の仁=桃仁が、使用されています。モモの葉などは皮膚疾患に有効とされていて、あせもや湿疹にはモモの葉をお風呂にいれて用います。種は漢方で「桃仁(とうにん)」と呼ばれ、血液の循環をよくする働きがあり、干して煎じたものを飲むなど、生薬として活用されています。
ただし、この桃仁は、生の状態では、シアン化合物が含まれています。モモが未熟な状態では毒性があり、完熟すると消えます。また煎じるとほとんど分解されるそうですが、やはり専門家に用法用量をアドバイスしてもらうべきで、素人が勝手に飲んだりするのはオススメしません。
モモの種類
日本には弥生時代に伝わったとされますが、その頃は観賞用で、食されるようになったのは平安時代からだとか。当時のモモは、今よりももっと小さく、硬く甘みも少なかったようです。明治になってから本格的に中国から渡来した栽培用の水蜜桃を改良することで、日本独特の白桃種がうまれました。今一般的に食べられているモモの品種は、上品な甘さで果汁が多く肉質が柔らかい白鳳系と、肉質がしっかりして日持ちのよい白桃系に大きくわかれます。さらに、これらの系統から品種改良されて、たくさんの品種が生まれています。西洋種の産毛のないネクタリンも植物学的にはモモと同種です。
モモの選び方・食べ方
全体がふっくらとして、産毛が均一に揃い、色が全体的に濃い赤色をしているものが熟れています。産毛がないものは古い印です。地肌が青っぽいものは未熟ですから、常温で追熟しましょう。食べごろに熟していると、さっと皮をひっぱるだけでつるりとむけます。トマトのように湯につけてから冷やすと、皮がむきやすくなります。桃は、冷やし過ぎると甘味が落ちるので、食べる1~2時間前に冷蔵庫か氷水につけて冷やしましょう。冷蔵庫などにいれる時は、モモは傷つきやすく茶色に変色しやすいので、他の食品とぶつからないように気をつけてください。
■参考
・主な果物の整理機能(モモ)(VEGITABLE & FRUIT)
・食材健康大事典(時事通信社)
・おいしい食材の見分け方と保存のコツ(PHP)
・東方栄養新書(メディカルコーン)
その他
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