他の食べ物にも毒性はいろいろある
かなり前ですが、春の味覚である山菜のひとつ、ワラビの発ガン性が話題になりました。その騒動の後、どうなったかといいますと、確かにワラビのアクに発ガン性物質がありますが、あく抜きと煮付けの熱処理をすれば心配はいらないということで落ち着きました。またじゃがいもにもアクリルアミドという発ガン性物質が含まれていることが知られています。日本で消費量の多いマグロは、きわめて高濃度の水銀が含まれています。でもマグロ自身が水銀中毒症状を起こすことはありません。さまざまな調査の結果、高濃度の水銀を含有しているマグロはセレン含有量も高く、セレン含有量の低いマグロは水銀量も低いことが明らかになりました。
部分ではなく全体から見るとどうなのか
以前も書いたかもしれませんが、私は分析技術が高度に進めば進むほど、こういう話題は増えてくると思います。今回の調査では、ひじきに含まれている無機ヒ素が悪いという部分だけの話です。
ひじきという食べ物全体について、また調理した状態ではどうなのか、さらに人間が食べ物として摂取した状態ではどうなるかは、まだ分かっていません。ひじきに含まれる成分によって、無機ヒ素は相殺されるメカニズムがあるのかもしれません。特に生体内で含まれている重金属についてはまだまだわからない部分が多いのです。
例えば、先に紹介したコープながののサイトでは、「ヒジキ抽出物をラットに投与すると、同量の無機ヒ素を投与したときよりもヒ素の排出が早かったという報告があります。」ということも紹介されています。
ひじきの悪い部分だけをとりあげて、日本の長い歴史の中で食されてきたひじきをここで断ってしまうのは、私は疑問です。まだまだ調査が必要で、それだけに日本の役割は大きいと思います。
人間は、この地球上を支配しているかのごとく大きな存在になってしまいましたが、地球システムの一部にすぎません。まだまだ科学では計り知れない世界があると思います。
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