企業のIT活用/IT関連法律の注意点

中小企業の資金繰りを支援 電子手形スタート(2ページ目)

企業間の新たな支払い方法として、電子手形が2009年11月からスタート。略して電手(でんて)や電債(でんさい)と呼ばれています。電子手形は紙の手形に替わるもので、管理コストの削減や印紙税の負担がなくなります。紙ではできなかった分割割引などができ中小企業の資金繰りを支援します。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

手形は2回不渡りになると倒産になる

手形が6ケ月以内に2回不渡りになると、当座預金取引が停止され事実上の倒産になる。

手形が6ケ月以内に2回不渡りになると、当座預金取引が停止され事実上の倒産になる

手形を発行するには、銀行に当座預金が必要。当座預金とは利息が付かない無利息預金で、手形の決済に使われます。

誰もが当座預金を開設できるわけではなく、経済的な信用力があるかどうか銀行で審査が行われます。まず銀行に普通預金で会社口座を作り、その口座を使って取引をすることで銀行に対して信用をつけてから当座預金を開設します。

手形が銀行に持ち込まれると、開設した当座預金から支払われます。支払いが無事終了すると「手形が落ちた」ことに。反対に残高不足で支払ができないと「手形が落ちない」になります。相手がうっかりミスで残高不足にしている場合がありますので、すぐに連絡します。

手形を振り出した企業の業績が悪く、支払いの目処がたたない場合は不渡り手形になります。半年の間にもう1回手形が落ちない事故が発生すると、当座預金取引ができなくなります。つまり手形発行ができなくなり、現金取引でしか商売ができません。信用ががた落ちになり、取引業者がいっせいに商品を持ち出してしまうので、実質的に営業ができなくなります。これが不渡り手形による倒産です。

紙の手形は紛失・盗難リスクがある

便利な手形ですが問題点もあります。まずは紛失や盗難です。手形上の権利をすぐになくすわけではありませんが、盗難や紛失した手形であることを知らない第三者(善意の第三者)に手形が渡ると、もとの所持人は手形上の権利を失います。

手形は紙なので、物理的な手渡しが必要。手形割引を受けたり、支払ってもらう場合、銀行に手形を持参しなければなりません。遠隔地の企業と手形取引をする場合は輸送が必要。

手形には偽造手形の問題があります。手形が偽造手形であることが証明できれば、企業は手形について何の責任も負いません。ただ多いのが社員による偽造です。こうなると使用者責任が問われます。

手形は合理的な支払手段でありながら、手形の作成・保管にかかるコスト、印紙税の負担、紛失・盗難のリスクなどの問題から近年、手形の利用が大幅に減少しています。

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます