<目次>
グループディスカッションで評価される力はチームワーク
グループディスカッションって、何がチェックされているのかがわかりにくい。しかし基本を押さえれば怖くない
1. 課題の提示
社員から、議論する課題と制限時間、その他条件などが与えられる。その他条件とは、例えば「最初にリーダーと書記を決めてください」「模造紙に書いて発表してください」など。
2. ディスカッション開始
提示された課題を時間内に議論し、発表する内容をまとめる。模造紙などに書くのであればその時間も考慮する。最初に役割が決まっていなければ、司会・書記・タイムキーパー・発表者を決める。司会が発表者を兼ねたり、書記がタイムキーパーを兼ねてもよい。なお、ディスカッション中、社員はチェックシートを持ちながら、周囲から観察している。
3. ディスカッション終了
社員に課題を議論した結果を発表する。インターンシップや仕事であればここでコメントや評価を得られるが、選考の場合はそのまま終了となる。
このように、グループディスカッションは面接とは全く違う選考方法なのだ。
さて、グループディスカッションで学生のどんな力を評価しているのだろうか。面接とは別に実施する以上、面接では評価できない力をチェックしているはず。面接と最も違う部分は、面接の相手は面接官だが、グループディスカッションは学生である点だ。つまり、初対面である意味ライバルでもある学生と協力し課題解決するプロセスを見ることで、チームワーク(協調性)を評価しているのである。
もちろん、長時間(半日など)のグループディスカッション(この場合はグループワークと呼ばれることが多い)であれば、リーダーシップや論理的思考力、最後まで諦めない力なども評価できるだろう。しかし一般的に広く実施されている1時間以内のグループディスカッションにおいては、チームワークをチェックしていると考えてよい。少なくとも斬新なアイデアを出す力をチェックしているのではないことを理解しよう。
チームワークを発揮するために必要な条件は3つ。
- 自分の役割をこなす
- 他人の役割を支援する
- チームの目標を達成する
この3つの条件をクリアした時に初めて、グループディスカッションを突破することができるのだ。
前日までにするグループディスカッション対策!
プロセスが重視されてるとしても、話題が盛り上がるネタを仕入れておくことは重要だ
・企業研究をあらためて行い、事前に課題に関する情報を集めておく
例えば、旅行会社なら「来店者を増やすには?」「外国人旅行者を増やすには?」など。出版社なら「新雑誌の創刊について」「既刊雑誌のリニューアルについて」などある程度は想像できる。また、就職課にある先輩レポートや、ソーシャルネットワークサービス(twitterなど)や掲示板(みんなの就職活動日記など)で今までの例を拾うこともできる。OB・OG訪問ができれば何が出たかを聞けばよい。とにかく企業研究をしっかり行い、どんなテーマが出てもネタに困らないようにしよう。
・志望する会社や業界に関わるニュースをチェックする
時事ネタもテーマになる。企業研究の一環としても面接対策としても、志望する会社や業界に関わるニュースをチェックしておこう。そして論述できるようにしておこう。
・友達と練習する
練習することもなく本番に挑むのは無謀だ。グループディスカッション特有の雰囲気に慣れるために、就職活動中の友達と練習しておこう。就職課のスタッフや先輩に相談してみるのもよい。とにかく、場に飲まれて発言できなければ必ず落ちる。何度も練習しておこう。
突破の条件1「自分の役割をこなす」
ポイントは「素晴らしい意見を言うこと」ではなく、「個人の意見を論理的に主張する」ことである
言うまでもなく、与えられた時間÷人数分、しっかり自分の意見を主張することである。ディスカッションに参加した時間が少なければ、当然自分の役割をこなしたことにならない。もちろん、あまり発言できなくても通過してびっくりするケースもあるかもしれないが、それは後述する「他人の役割を支援する」点数が高かったからにすぎない。しっかり自分の意見を伝えるためにも、前日には企業研究やニュースのチェックを怠らないようにしよう。
・ゆっくりと大きな声で話す
早口で、もしくは小さな声で話しても、相手に伝わらなければ意見を言ったことにならない。もちろん、周囲でチェックしている社員に聞こえなければ評価も下がる。
・論理的に簡潔に話す
大きな声で話しても、論理的でなければ相手は理解できない。また、ダラダラと複数の意見を羅列しても相手は混乱するだけだ。コツは結論をまず言って、その理由を具体的に示し、最後にまとめる順番で話すとよい。面接で面接官と話すときと同じだ。
・全員に問いかけるように話す
伝えたい人に顔を向けて、伝えたい気持ちを届ける気持ちで話さなければ、相手の心には届かない。席によっては顔が見えないメンバーがいることもあり得る。そんな時には立ち上がったり身体をよじったりして、全員に均等に伝えようと努力しよう。
・笑顔で身振り手振りを使って話す
怖い顔で話しても強い口調で話しても、ただ嫌われるだけだ。柔らかな笑顔で、身ぶり手ぶりを使って話そう。相手に伝わるように、心を込めて話そう。
・道具を使いこなす
ホワイトボードがあればぜひ使おう。書くものや紙があるなら、目の前で絵を描いて示してもいいだろう。わかりやすく自分の意見を伝えるにはどうすればいいのか、常に与えられた状況を活かすことを考えよう。
以上を遂行することで、チームに対し自分の意見をしっかりと主張できることを、傍から見ている社員にPRしよう。
突破の条件2「他人の役割を支援する」
自分の意見を押し通そうとしてはダメだ。もしそんな学生がいたら、腕の見せ所だ
今回与えられた課題は「グループディスカッション」であり「ディベート」ではない。自分の意見を押し通すことが目的ではない。よく、自分の意見を押し通そうとする学生がいるが、その学生はきっと落ちると思ってよい。つまり、他人の役割を支援するとは、他のメンバーが意見を言いやすい、理解をしやすい環境を作ることである。
・話し手の顔を見てうなづく
真剣に話を聴いてくれる人がいたら、嬉しくて誰れもが話しやすくなるもの。身を乗り出して、深くうなづいてくれたら、話し下手な学生でもどんどん話してくれるだろう。その所作が、グループディスカッションの基本中の基本なのだ。
・メンバーの意見をまず褒める
どんな意見であってもまず褒めること。「素晴らしい意見ありがとう!」と褒めることで、話し手は気分が良くなり、次の話し手も話しやすくなる。話がわかりにくかったり話に矛盾があったりなど、もし欠点があってもディスカッション全体に影響を与えるような大きな間違い以外は指摘する必要はない。大切なことは、積極的な意見がどんどん生まれるような場を作ることだ。
・メンバーの意見を復唱・要約する
メンバーが話した後、「○○さんの意見は、~ということですね」と復唱・要約するとよい。理由は2つある。まず、メンバー全員がその意見を正しく理解することができ、次の意見が出やすくなり、最後の発表時のまとめもしやすくなるからだ。復唱・要約することで、話し手は君がしっかり話を聴いてくれたと嬉しく思うだろう。結果、君はメンバーの中で少しずつ信頼を得ていくだろう。
・発表まで全員が意見を言えるようにうまくコントロールする
必ず、自分の意見ばかり長時間話す学生、もしくは少ししか意見を言わない学生がいる。前者の学生に対しては、「○○さんの~といった意見はとても素晴らしいと思います。しかし、まだ意見を言えてないメンバーもいますから、次の人に話す機会を分けてもらってもいいでしょうか」とうまくコントロールしよう。後者の学生に対しては、「まだ○○さんの意見、じっくり聴かせてもらっていない気がします。ぜひもっと聴かせて下さい!」と話し下手な学生がうまく話せるようにしてあげるとよいだろう。以上は通常リーダーの役割だが、リーダーを支援する形でリーダー以外がやってもよい。
以上を遂行することで、チームのメンバー一人ひとりに対し、それぞれの役割を生かすことができることを、傍から見ている社員にPRしよう。
突破の条件3「チームの目標を達成する」
入社すれば、難しい課題が山ほどある。その課題に対しチームワークを発揮できる学生を採りたいのであって、今回の課題を解決する学生を採りたいのではないのだ
間違ってはいけないことは、チームの目標は素晴らしい結論を出すことではないことだ。よく考えてみれば、学生が数十分議論して出てくる結論が、実際に役立つはずはない。役立つ結論を出すは入社してからでよい。現時点で求められているチームの目標は、あくまでも社員が最初に提示した課題に対する答えを、時間内に議論しまとめ発表することなのだ。もちろん、少しでもいい結論を出そうする意欲は捨てないが、必要以上にこだわってはならないのだ。
・時間配分を決めてタイムマネジメントをする
与えられた時間が30分なら、最初の15分をフリーディスカッションにあて、残りの15分のうち10分で意見を整理し、残り5分で発表内容をまとめなくてはならない。最初に司会が時間配分を決めて宣言してからディスカッションを始めるとよいだろう。途中で時間が足らなくなったら全員落ちてしまう。ダメな司会の道連れにならないように、司会でなくても時間管理には注意しよう。
・意見が割れたり、混乱したら、いったんまとめる
意見が2つに割れてもめたり、意見が錯綜してまとまらなくなったりすることもあるだろう。そんな時は「ここまでの議論を整理したいと思う」と発言し、「意見として大きく2つに分けると……」など、問題点を整理することが肝要。まとまらないなと思ったら、例えば「残り時間があと○分しかありません。よってテーマを1つに絞りたい」と切り出すなど、時間がないことを武器にとにかく大雑把でも議論の方向性を定めるアクションが必要となるだろう。
・場が停滞したら視点を変えてみる
逆に話が盛り下がってしまった時にはどうするか。そんな時には率先して視点を変えてみよう。「今までは実現性やコストを考えて意見を出し合いましたが、今度はお客様の立場でどんなサービスが望まれるかを考えてみましょう」など、議論を前に進める機転も必要だ。
・コンセンサス(同意)を得る
最後には議論した内容をまとめなくてはならない。よって、メンバー全員に発表内容のコンセンサス(同意)を得なくてはならない。「今までの議論をまとめさせてください」とまとめ役を買ってみよう。通常、リーダーがまとめることが多いが、リーダーを支援する形でリーダー以外がやってもよい。なお、意見をまとめるコツは、まずタイトルを決めることだ。タイトルを決めて、その内容を箇条書きにすると、発表がぐっと論理的にまとまる。この作業がプレゼンテーションの基本スタイルとなる。
以上を遂行することで、チームの目標を忘れず、その達成のためにチーム全体に働きかけることができることを、傍から見ている社員にPRしよう。
最後にグループディスカッション突破の秘訣を述べる。最も発言機会が多く、3つの条件をクリアしてチームワークを最も発揮しやすい役割、すなわちリーダーを自ら買って出ることだ。通常、最初に立候補で決めるので、最初に手を挙げてリーダーになろう。もし立候補で手を挙げるのが遅れてリーダーになれなかったときには、サブリーダーになった気持ちで臨もう。
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