コンサルタントに必要とされることはなにか
<目次>
コンサルタントが持っている資格とは
コンサルタントに有利な資格は4種類
コンサルタントの関連資格には、大きくわけて4つカテゴリがあります。
- MBA(Master of Business Administration/経営学修士)
- 士業系の資格
- 英語などの資格
- ベンダー資格
というように整理できます。資格があると転職の際に武器になります。
コンサルティング職において最も有利なMBA
MBAは、コンサルタント関連資格で真っ先に取り上げられる資格。MBAとはMaster of Business Administrationの略で、経営学修士と呼ばれます。MBAは通常2年間の専門課程で、経営に関する理論を幅広く学びます。経営戦略、マーケティング、会計、財務、組織論といった定番の科目に加え、近年では、起業論、イノベーション、交渉論、などの科目も取り入れられ、より実践的な内容になっています。10数年前には、MBAといえば海外のMBAが中心で企業派遣が多くを占めました。近年は、高額な費用がかかる海外大学ではなく日本の大学が次々とMBAコースを立ち上げたことにより、国内大学に個人で通うことも一般的になっています。一流MBAを卒業すれば、コンサルタント会社への転職は非常に有利になります。
仕事の幅を広げる士業系の資格
コンサルタント関連資格としては、士業系の資格も転職に有利になります。士業系とは「士」がつくような公的な資格で、公認会計士、税理士、弁護士、中小企業診断士といったものが代表格。例えば、公認会計士であれば、財務/M&Aアドバイザリー系のコンサルティング会社や、企業会計のシステム構築などのコンサルティングをする際に有利に働きます。中小企業診断士であれば、その名の通り中小企業を対象とするコンサルティング会社へ転職の際には有利な資格として判断されます。以下に、役に立つ資格と、資格を評価してくれるコンサルティング会社を示します。
■公認会計士、税理士
財務アドバイザリーファーム、再生ファーム、会計コンサルティングファーム
■アクチュアリー、社会保険労務士
人事系ファームへの転職で有利
■医師
戦略系コンサルティングファーム
ただし、どの資格も簡単に取得できるような資格ではありません。公認会計士などは難関資格の筆頭にあげられる資格ですし、転職のためだけに取得するには荷が重過ぎます。
むしろ、すでにこれらの資格を持っている人(例えば監査法人などに勤務の公認会計士)にとって、仕事の幅を広げるためにコンサルティングに転職したい場合、有利に評価してもらえる、と考えたほうがよさそうです。
ERPプロジェクトに役立つベンダー資格
ベンダー資格とは、ERPパッケージ(Enterprise resource planning/統合業務ソフトウェア)のベンダーが、自社の製品の知識について認定を行っている資格のこと。コンサルティング会社では、ERPの導入プロジェクトは非常に多く実施されています。そのためERPの資格を持ってれば、即戦力として評価してもらえる場合があります。ERP市場は、現在はSAP社とOracle社の2社が大企業向け市場をほぼ独占しており、この2社の関連資格「SAP認定コンサルタント資格」「Oracle Applications認定コンサルタント」を持っていれば有利に働きます。その他、ネットワーク、インフラ関連では、シスコシステムズ「シスコ技術者認定(Cisco Career Certification)」が有利です。
ベンダー資格には強み、弱みがあります。強みは、非常に実務的な資格であるため即戦力として見てもらえる場合があるということ。なかには応募要領にSAPの特定モジュールの資格取得を条件としているものも見受けられます。弱みは、強みの反対になります。もしSAPの資格を持っていても、転職したいコンサルティング会社がSAPのプロジェクトを手がけていなければ、資格の意味がありません。
基礎能力が試される資格
最後は英語の資格です。具体的には、英検、TOEICが挙げられます。英語の資格は思っている以上に重要。その人の基礎能力や知的レベル類推と英語力というのは、一定の関連があると考えられているからです。TOIECであれば700点以上あれば「ほぼ安心」できるレベルです。まずは700点をクリアすることを目標にしてみてください。その他、簿記の資格も評価されることがあります。ただし1級取得が必要です。
コンサルティング会社転職のための資格取得3つの注意点
それぞれの資格の強み・弱みと、築きたいキャリアをマッチングさせよう
ガイドから、コンサルティング会社への転職を視野に入れた資格取得について、3つのアドバイスをしたいと思います。
1つめは、中途半端な資格は意味がない、ということです。初級~中級レベルの資格を10個持っていても、ほとんど評価されないばかりか、「何がやりたいのかわからない」とかえってマイナス評価にもなりかねません。コンサルティングで役立つ資格は、実務で使えるプロフェショナルレベルの資格です。英語をアピールするならTOEIC900点はほしいところ。中途半端な資格をたくさんとる時間があるなら、プロとして通用する資格を1つとりましょう。
2つめは、転職したいコンサルティング会社にあった資格を取ろうということです。資格とはつまり専門性と同じことですから、その専門性が生かせる会社に応募しなくては意味がありません。資格としては最難関レベルの公認会計士でも、相手が人事系のファームでは評価してもらえません。また、中小企業診断士のような資格は幅広いことを学ぶ反面何ができるともいえないため、思ったほど評価してもらえないこともあります。
特にIT関連の仕事についている方は、無理に高度な資格を取るよりも、着実に仕事の成果につながるベンダー資格を取得した方がいいでしょう。
最後は、MBAの捉え方です。MBAは、日本語訳すと、経営学修士です。つまり修士課程なのです。対象が経営学なだけであって、本質は修士課程の大学院です。MBAは資格の一種と捉えられることが多いようですが、コンサルティング会社の人事担当は「学歴の一環」と考えています。MBAさえ持っていればどれも同じなのではなく「どの大学のMBAか?」が重要なのです。
資格を持っていると、チャンスが増える、転職で有利になるというメリットがあります。ただ、資格を取るにはそれなりの時間とお金もかかります。MBAに留学するとなれば2年間の時間と多くの費用がかかります。
自分の進みたい方向性を見据えて、有効な資格取得をめざしてほしいと思います。
また、コンサルタントとして働いている人がすべてMBAを持っていたり、難関資格を持っているわけではありません。実際ガイドの私も新卒でコンサルティング会社に入社したこともあり、これといった資格は持っていません。コンサルタントは実務能力重視です。資格がないからといってコンサルタントへの転職ができないわけではありません。今の仕事で着実に成果を挙げていれば、必ず評価は付いてくるでしょう。
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