<目次>
社会人経験があっても自己分析が重要な理由
「自己認知力」を身につけることが転職成功の鍵に!
そして自己分析ができている人は場の空気を読み、臨機応変に態度を変えることができるので、良いチームワークを形成することができます。
このような自己分析を正確に行える力を私は「自己認知力」と呼んでいます。
自己認知力は、一般ビジネススキルである「処理スピード」「正確性」「論理性」などのように可視化できないため、評価されることは少ないですが、自己の成長のために欠かせない重要な要素です。
転職までの経歴別!自己分析のポイント
年齢別や未経験の場合で注意したいことをまとめました。- 26歳まで(第二新卒)の転職
「リーダーシップがある」と自覚している人は学生の頃からその資質があったでしょう。人間の本質は変わらず、仕事に慣れるほど本来の自分に戻っていきます。
よって、学生時代の自己分析、社会人になってからの自己分析の双方を行い、そのギャップを見ることで、自分がプレッシャーや環境変化に強いのか弱いのか、などが見えてくるでしょう。
- 30歳以上の転職
環境変化に弱い人は、新しい会社に転職した後も同じような行動をたどる可能性があります。入社後の人間関係の築き方や行動パターンなど、自分にどのような変化があったか、変化のきっかけなどを振り返りましょう。
- 未経験の業界・職種への転職
次に実例をみながら自己分析の方法をご紹介します。
転職を成功させる自己分析3つのステップ
自己分析をしろと言われても方法がわからない、という方もいるようですので、自己分析をまとめるためのステップを紹介します。1. 紙に書き出す
まずは自分の情報を書き出すことから始めよう
- どんなときにモチベーションがあがるのか?
チームで何か成果を出したときが楽しく感じる人もいれば、個人でやり遂げたほうがうれしいという人も。また、逆境こそ燃えたり、あまり変化を好まない人もいます。人によって心地よい状態には大きな違いがありますが、その点に気づいていない人もいます。
<例>
○モチベーションがあがったとき
- 運動会のリレーで1位をとったとき
- バスケット部のレギュラーになれたとき
○モチベーションが下がったとき
- 飼っている猫が死んだとき
- 部室で自分の悪口を聞いたとき
- 自分の強み、弱み
面白いもので、強みと弱みでどちらか一方だけ多く答える人もいます。日本人の場合、強みは答えにくく弱みは沢山話せるという人が多いです。しかし、転職はアピールが重要なので、自分が他人より勝っている点を冷静に分析する必要があります。賞を取った経験や評価が高いといわれたポイントを書き出してみましょう。
<例>
○強み
- 思いついたらすぐ行動に移せる
- 何かを実現するときにたくさんの友人を巻き込める
○弱み
- 一度始めたら後戻りできない
- 授業のノートなどに抜け漏れが多い
- 将来どうなりたいか?
欲望の少ない人は、どうなりたいかの反対で「どうはなりたくないか」を考えてみるといいでしょう。「年収○円以下は嫌」「今は営業職だけど5年後は続けていたくない」といったものです。そこから将来のイメージを描くとよいでしょう。
<例>
○10年後の自分
- 社長賞を取っている
- 赤坂に3LDKのマンションを購入している
2. 書き出した項目の理由を書く
次に、ここまでで浮かび上がった自分の特徴に対する理由を明確にします。「どうして?」を繰り返し自問し、最後に「つまりそれは何に起因している」という結論を導きます。この時のポイントは、ポジティブな結論にまとめることです。- モチベーションがあがったとき
- 運動会のリレーで1位をとったとき
- バスケット部のレギュラーになれたとき
→目立つのが好き。認められている感がある。自分が有能だと思える。
- モチベーションが下がったとき
- 飼っている猫が死んだとき
- 部室で自分の悪口を聞いたとき
「どうして?」
→自分を慕ってくれる存在の喪失。自分を否定されている気持ちになる。
つまり結論は……
- 自分は人に認められたいと思っている。
- 常に出来る人間でありたいと思っている。
- 自分の強み
- 思いついたらすぐ行動に移せる
- 何かを実現するときにたくさんの友人を巻き込める
- 自分の弱み
- 一度始めたら後戻りできない
- 授業のノートなどに抜け漏れが多い
- つまり結論は……
- 行動力、推進力がある
- 最後までやりきる意志が強い
- 細かい点よりも全体を見ることが得意
- 状況に応じて人を巻き込めるので大きな仕事もできる
- 10年後の自分
- 社長賞を取っている
- 赤坂に3LDKのマンションを購入している
「どうして?」
→全社員に認められたい。
つまり結論は……
- 成功したいという気持ちが強い
- 豊かな生活がしたいと思っている
- ゆえに高い給与がほしい
3. 知人、友人、キャリアコンサルタントに質問する
友人、知人、転職コンサルタントにここまでの分析結果を見てもらい、それが正しいと思うか、仕事でどう生かせそうかなど客観的な意見をもらいましょう。まずは、自分で考えた分析結果をメールや紙で共有し、意見をもらいます。お酒を飲みながらでもかまいません。ざっくばらんにコメントを頂くことが重要です。家族、知人、友人で距離感が近ければ、より率直にコメントしていただけることでしょう。
そして、最後に、「自分で考える自分」「他者が考える自分」とのギャップを書き出し明確にします。
これは「ジョハリの窓」といって、カウンセリングなどでよく用いられる方法です。
そして、どうしてそギャップが発生したのかの理由を、自分の普段の行動から考えます。すると自分の行動特性が見え、強みと弱みを導き出して整理し直すことができます。ここまでできたら、あとは自己PRや転職理由などを作成する際に、これらを結び付けていきます。
ジョハリの窓
導き出された自己分析結果を、人材紹介会社に登録にいった際、キャリアコンサルタントに見せるといいでしょう。
自己分析をした後は、「どのような会社に転職できるのか?」といったアドバイスが欲しくなります。自分の行きたい会社やイメージしている会社に強いと思われる人材紹介会社を選択するといいでしょう。
面接の場にも自己分析のヒントがある
自己分析をして、転職活動をすることが望ましいとわかった場合、希望の仕事を求めて転職活動を始めましょう。求人情報サイトに登録したり、人材紹介会社に登録をしたり、知人や友人に求人がないかを聞いてみることになるでしょう。面接まで進むと「なぜ転職したいのか?」「何ができるのか?」「将来どうしたいのか?」といった具体的な質問をされます。
今は経理だが、転職後は事業企画の仕事がしたい、という人の場合。
面接を受けたところ、まずは経理のスキルを生かして経営企画的な仕事からスタートし、次のステップとして事業企画希望に行く、というキャリアステップがあることを教えてもらいました。
このように、きちんと自己分析をしていれば、周囲が目標にたどり着く方法を教えてくれることもあります。
自己分析では、企業側や経営視点もあわせ持つことが重要です。独りよがりにならず、他人からの目線や視点をどれだけ自分に取り入れられるかがカギとなるのです。
転職の自己分析・NG例
これまでガイドがカウンセリングしてきた中で、多かったNG事例を紹介します。自分自身に当てはまることはありませんか?- 面接の自己PRで、抽象的な話に終始する
「粘り強さ」を具体例やプロセスを交えたものにすると、次のような内容になります。
「一度や二度断られ、通常であれば諦める場合でも、私はお客様のビジネスに関係のあるニュースや好材料があれば、必ずそれをネタに電話やメール・手紙を書き、10回以上アプローチすることも多くありました。結果として、『あなたの熱意には驚いた』と感心され、成約に至ったことが年間5回以上ありました」
自分の「売り」を具体的に書くことが重要です。具体例やプロセスが語れないのは、自己分析が未完了だったり正確に行われていないためです。
自己分析を書くときの注意点
第三者にチェックしてもらうことが自己分析の重要なポイント
- 良い・悪いの両面から見る
自分の悪い部分を書くとモチベーションが下がる場合もありますが、誰でも良い点、悪い点はあります。悪い点を自覚することが必要ですし、今後の成長のきっかけにもなります。
- 良い点、悪い点を3つずつ挙げる
良い点・悪い点が一つしかない、という人はいません。ビジネススキルだけではなく、性格上の強み・弱みも書き出しましょう。自分をよりよく理解するためにたくさん挙げ、そこから3つに絞るように考えましょう。
- 第三者と議論する
正確に自己分析を行うと、面接に強くなり内定が取りやすくなります。そして、自分のビジネスパーソンとしての成功や自己実現にもつながります。
面接では、「転職理由」「志望動機」「自己PR」の3つがよく聞かれる質問です。それらのメッセージが一貫していて明快であること、矛盾がないことが重要です。
マニュアル本を真似ただけの上辺の返答では、質問をされる中でどうしても矛盾点が生まれます。何を聞かれても一貫した回答ができてこそ説得力があり、きちんと相手に伝わります。
そのために自己分析をしっかりすることが必要なのです。もう一度あなた自身という「商品」を確認してみましょう。大いなる「宝」が隠されているかもしれません。
【関連記事】