企画のノウハウ/企画の立て方・まとめ方

すぐにできる企画の基本・コツ……企画の定義やその目的、構成要素

「企画を立てて」と言われても、捉えどころがなくて困ったりしませんか? この記事では企画の定義やその目的、構成要素などについてお話ししていきたいと思います。まずは、企画とは何かを知り、それを作るための重要ポイントやコツをおさえましょう。

野村 尚義

執筆者:野村 尚義

プレゼンテーション・企画力ガイド

すぐにできる企画の基本・コツ

「企画を立てて」と言われても、捉えどころがなくて困ったりしませんか? まずは、企画とは何かを知りましょう。

「企画を立てて」と言われても、捉えどころがなくて困ったりしませんか? まずは、企画とは何かを知りましょう。

「今度、この件について企画をあげてくれ」上司に言われても、経験がないと戸惑ってしまいます。どう戸惑うかというと「企画って、よくわからない」ということ。企画という言葉はよく使うものの、具体的な意味はわかりにくい。

この記事では企画の定義やその目的、構成要素などについてお話ししていきたいと思います。「なんとなく、ぼんやりわかっていること」を「はっきりと理解していること」に変えて、いい企画を作っていきましょう。
 
<目次>
 

企画の定義

まずは、とらえどころのない企画というものに、形を与えたいと思います。つまり、定義するということ。企画をどのように定義するかは属する業界によっても様々あるでしょうが、私が一般的な定義として用いるのはこれです。

企画とは、あるものを実行するための青写真であり、「アイデア」と「計画」の間の具体性のあるものである。

ポイントが2つあります。それぞれ確認してみましょう。

■実行することが前提
企画がただのレポートや雑談、面白トークと違うところは、前提に「実行に移そうという考えがある」ところです。言いっ放しではなく、その後のアクションまでがセットになっている。

わかりやすいように例を示しましょう。友人との飲み会で、こんな会話がなされたとします。「仲間うちでお金を出し合って、バーとか経営できたら面白いと思わないか?」

このトークが企画になり得るのかどうかは、その場にいるメンバーたちの実行に対する本気度次第。たとえその場がどれだけ盛り上がろうとも、どんなに具体的な話になろうとも、その場にいるメンバーがそもそも出資する気などまったくないとしたら、ただの妄想話でしかありません。逆に、メンバーたちが余剰資金があって、出資を前提としてやろうと思えるのであれば、それは企画に成り得るわけです。

■アイデアと計画の間の具体性
企画とは、アイデアよりも具体性があるもので、計画ほどはハッキリとしていないもの。そんな風に考えていただくとわかりやすいでしょう。表現を変えれば、アイデアが育って企画になり、企画が育って計画になっていくものです。

アイデアとは、ただの思いつきです。それが使えるものかどうか分からない状態。ただ、数多く出てくるアイデアの中でキラリと光るものがあると、それが企画に昇格する可能性が出てきます。

しかし、単純に「光るアイデア=企画」ではありません。光るアイデアだと思うからこそ、その実現性について深く考える。本当にそのアイデアは効果的なのかについて熟考する。そのプロセスが、アイデアに様々なものを肉付けしてくれます。肉付けがなされて初めて、アイデアは企画に昇格するのです。

計画とは、時間軸にそって何をするべきかまで明確に落とし込まれたもの。かなりの手順まで固まっている状態。企画と呼ぶ段階では、まだここまで固まっていないことが常です。

世の中で企画書というものをなぜ書くかを考えてもらえれば、このことが理解できます。企画書は、その企画を実行するかどうかを判断するために書きますよね。そして、実行すると決まったら、それを詳細な計画に落とし込んでいく。

企画とは柔軟であり、良い意味でファジーである。計画とは極めて具体的であり、その分融通は利きにくい。
 

企画の概念

企画には、他者が関わる企画と自分だけのための企画があります

企画には、他者が関わる企画と自分だけのための企画があります

前述したように、企画というのはなかなか幅広い概念。その幅広い企画の概念をここでは大きく2つに分けてみたいと思います。

■他者が関わる企画
企画を立てたのがあなたでも、それを実行するのは他者であったり、あなたを中心に何らかの手伝いを他者にお願いしなければならない場合などがあります。

この場合、企画には「他者を説得する」という大きな役割が求められます。当然ですよね。人は面白く魅力的で、メリットが大きそうな企画ならば手伝いたいとも思いますが、そうでなければ関わりになりたくないと思うでしょう。

■自分だけのための企画
その企画を思いついたのも自分であれば、それを実行するのも自分。特に実行プロセスで他者が関わらないような場合を指します。

この場合は、他者説得の要素は必要ありません。自分がやるべきことを忘れず、自分自身のやる気を高めることさえできればOK。ただし、自分自身のやる気を高めるというのは簡単ではなく、ある意味「自分自身を説得する」という要素が必要であるとも言えます。

多くの人は企画というと、前者の「他者が関わる企画=説得のための企画」をイメージするのではないでしょうか。そういう人は、企画の概念をもう少し広げて認識してもらえるとよいと思います。
 

企画に必要な3要素

企画が実行のための青写真である以上、企画にはいくつの要素が含まれている必要があります。ここでは企画に必須の3要素をご紹介しましょう。

■What~何を実行するのか?~
企画が、何かを実行しようと提案するものであるのならば、その「何か」が明確に語られる必要があるのは当然のことでしょう。「よくわからないけど、なんかやりましょう!」というのでは、企画とは言えません。一言、シンプルでクリアな言葉で、何をやるのかが語られると、その企画は非常に強い力を持ち始めます。

たとえばあなたが社内イベントを企画する立場にいたとします。社内運動会をするのか、社員旅行を企画するのか、もっと別のイベントを実施するのか。まずは「本年度は○○を実施したいと思います」の○○を埋めることから始めなければなりません。

■Why~なんのために実行するのか?~
Whyとはつまり、その企画を実行する目的です。わざわざその企画を実行しようと試みる以上、何らかの目的がありますよね。その企画を実行することによって、どんな良いことがあるのか? それを明確にする必要があります。

このWhyの要素がなければ、他者が関わる企画ではその他者の協力が得られないでしょう。「なんのメリットがあって、自分がそれに関わらなければならないのか?」と思われてしまいます。自分だけのための企画でも、続ける意味が感じられず、尻切れトンボになってしまうのがオチです。

たとえば社内イベントで社員旅行を企画したとします。そこには「社員同士の横のつながり強化」「普段がんばってくれている社員さんへのねぎらい」「疲れを癒し英気を養う」などの目的が考えられるでしょう。これらが1つもないとしたら、やる意味が感じられなくなってしまいますよね。

■How~どのように実行するのか?~
HowとはWhatを具体的な行動・検討事項に落とし込んだもの。企画の定義において「企画とは、アイデアよりも具体性があるもの」と述べました。つまり、企画の3要素におけるWhatがアイデアにあたるものであり、WhyとHowが加わることによって、初めて企画になるのです。

企画が実行を前提とするものである以上、夢物語ではいけません。それを実現するステップがイメージでき、表現できないといけないのです。

社員旅行の企画ならば、いつくらいの時期に実施するのか? どこに行くのか? 予算はどれくらいなのか? 誰が中心になって手配していくのか? など具体化しなければならないことがたくさんあります。

企画という抽象的になりがちな概念を、いくつかの切り口から具体的に表現したのが今回の記事です。いざ企画を作る段階になったものの、なかなかうまく立てられない。そんなとき、原点に戻ることが大切です。

「そうか、計画の手前の柔軟性が必要だったんだ」とか、「もっとWhyの要素を足せば良いんだ」などの形で閃きがわいてくるかもしれませんから。

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