角の立たない有給休暇の取り方
当然の権利とはいえ、あからさまに休暇モードで会社に行くことはご法度です。周りの人への気遣いを忘れずに |
会社の就業規則に目を通しましょう。恐らく「有給休暇の申請は、前日(あるいは2日前、3日前)の就業時刻までに会社に届けること」と記してあるはずです。身内の不幸や事故、急病になった時に、前日(あるいは2、3日前)に申請すれば、有給休暇として認めてくれます。こういったケースは、予想していない不幸な事態。いわば「やむを得ない休暇」なので、会社は無条件で認めざるを得えません。
有給休暇を申請する側が罪悪感を覚えるのは、たとえば海外旅行に行くとか、温泉地でゆっくり過ごすといったリフレッシュの時間を確保するために申請するケースです。全社員が仕事をしている最中に自分1人だけ休みを取ることに対する申し訳ないという気持ちが生まれるのです。また、上司や同僚には「忙しい時期に1人だけ遊びに行くのか」という反感が生まれます。そういった罪悪感をなくし上司や同僚に迷惑をかけず、しかも笑顔で「いってらっしゃい」と言ってもらえるためには、いくつかのポイントをクリアしなければいけません。
■業務に支障のない時期を選ぶ
公式の申請をする前にクリアしなければならないチェックポイントの1つが、業務に支障のない時期を選ぶこと。会社や所属部署の忙しい時期を避けることが、上司、同僚、部下に迷惑をかけないコツです。
■申請前に上司に相談する
有給休暇を取りたいと思った早い段階で、いち早く直属の上司に打診して下さい。カレンダーを指して「このあたりでお休みをいただきたいと考えておりますが、差し支えないでしょうか?」と相談を持ちかけるのがよいでしょう。早い段階で相談することのメリットは、あなたが不在中の業務の段取りを早い時点で計画できることにあります。
■休みが重ならないよう調整
上司に早めに相談するもう1つの理由は、同じ部署の人と重ならないようにするため。上司は部下が一度に休暇を取ることを嫌います。そのため事前に調整が必要になるのです。たとえば「Sさんからもその週に有給休暇を取りたいという相談があった」と上司から説明があった場合、上司が業務に差し支えがあると予測している表われです。その場合、日程を変更しても問題なければ、スケジュールを見直しましょう。
■日程が決まったら
有給休暇の日程が決まったら、同じ部署の先輩、同僚、後輩には早い段階で必ず自分から声をかけてスケジュールを公開してください。そして、自分が不在中に担当してもらう下記の2点の協力を仰ぎます。
- 得意先・取引先、他の部署などから連絡が入った場合の対処
- 不在中の仕事の引継ぎ
周囲の協力者は事前に休暇の日程を聞いていれば、自身の仕事のスケジュールも立てやすくなります。少なくとも休暇の前日までに仕事の内容と進行状況を伝え、引き継いでもらいましょう。その際に、不在時の連絡方法や連絡待ちのリストを作り、万が一トラブルが起こった時にはどのような対処をするのかも添えておきましょう。これは周囲に迷惑をかけないために欠かせない作業です。
なお、休暇に入る前日には、必ず上司、先輩、同僚、部下に「明日から○○日までお休みを戴きます。不在の際には、ご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いします」といったあいさつを欠かさないようにしてください。
■感謝の言葉を忘れずに
休み明けも大切です。まず、出社してすぐに上司に今日から出社したことを報告し、必ず「おかげさまでリフレッシュできました。ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えてください。次に不在時にフォローしてくれた先輩、同僚、部下にも感謝の言葉を述べてください。そして、「休暇ボケ」と後ろ指を指されないよう、すぐに仕事モードに切り替えましょう。普段から遅刻や欠勤をしないのはもちろんのこと、誰かが休んだ時は進んでフォローをすることや、休み明けには気持ちを入れ替えて普段以上に仕事に集中することが肝心です。
社内行事や就業時間外での付き合い方は、企業を取巻く環境の変化に応じて多様化しています。また、残業や休日出勤に対する手当てが支給される会社と支給されない会社とでは、勤めている社員の心構えも違ってくるでしょう。残業を好まない企業も増えています。一方、アフターファイブの付き合いは、仕事の延長と考えるか、プライベートタイムに仕事が侵入してきたと考えるのかによって、まったく意味が違ってきます。
大切なのは、コミュニケーションなくして会社は機能しなくなるということです。会社が機能しなくなると、プライベートにも大きな影響を及ぼします。反対に、プライベートが充実していないと、仕事に集中できなくなります。現代のビジネスパーソンにとっては、こういった仕事とプライベートのバランスがとても大事になっているといえるでしょう。