企業のIT活用/セキュリティ/暗号化

TBC個人情報漏洩 損害賠償が一人3万円(2ページ目)

TBC個人情報漏洩で3万円の損害賠償判決に。情報が漏れただけでなく、ウィニーで2次被害が発生したことから多額な賠償額に。ファイル共有ソフトとは、企業としての対策についてみていきます。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

ファイル交換サービスとは

音楽ファイルの交換ソフトが登場
音楽ファイルの交換ソフトが登場
ネットワークを使って情報共有する場合、面倒をみるサーバー(親)とサービスを受けるクライアント(子)が必要でした。いわゆるファイルサーバーです。
ところが、P2P型で情報共有ができるようになりました。P2P(ピア・トゥー・ピア)型とはWindowsパソコン2台をケーブルで接続して、それぞれのハードディスクに入っているファイルを共有するようなネットワークを言います。

対等なネットワークで、中央にコントロールを行うサーバーは必要はありません。これを大規模にしたのがファイル交換サービスです。

元々はAOLで開発されたグヌーテラが最初でした。またナップスターという音楽ファイルの交換ソフトが登場し、音楽業界を巻き込んで大騒ぎになりました。現在では合法化され、日本でもナップスタージャパンが登場しています。
>> 「音楽配信はPCだけでは生き残れないのか?」

ウィニー(Winny)とは

日本のファイル交換サービスではウィニーが有名です。

安部首相が官房長官時代に情報漏洩があいついだことから国民に対し、ウィニーを使わないよう呼びかけましたが、あのウィニーです。

ウィニーをパソコンにインストールすると、ウィニーがインストールされた自分以外のパソコンとファイル交換を行うことができます。ウィニーのユーザー数は50万人ほどですので、この50万人とファイル交換ができることになります。これがウィニー・ネットワークで、情報漏洩はこのネットワーク上で起きています。

ウィニーではどのファイルを公開するか自分で設定できます。具体的には決められた公開フォルダーに公開するファイルをほうりこみます。すると、公開フォルダーの情報がバケツリレーでウィニー・ネットワークに流通していきます。サーバーが停止し、サービスが止まるようなことはありません。流出した情報はバケツリレーによってネットワーク上のパソコンに格納されることになります。ここがウィニーの恐ろしいところです。

キンタマウイルスが情報を流出させる

キンタマウイルスが情報を流出させる
キンタマウイルスが情報を流出させる
誤解している人も多いのですがウィニーをインストールすると情報が流出するわけではなく、ウィニーを使って情報を流出させる暴露ウイルスが問題です。
ウィニーの暴露ウイルスで一番有名なのが、「アンチニー」(Antinny)とその亜種です。通称「キンタマウイルス」と呼ばれています。なぜ、こんなふざけた名前がついているかと言えば、ウイルスに感染するとパソコン内のファイルを集めて圧縮し、ひとつのファイルにまとめます。

このファイル名の先頭に「キンタマ」という名前がつけられ、ウィニーのアップロード機能を使って外部に公開してしまいます。
これで自分が公開設定した以外のファイルまでもがウィニー・ネットワークに漏洩されてしまいます。ウィニーはP2P型ですので漏洩した情報はウィニーユーザのパソコンにダウンロードされ分散されてしまいます。漏洩した情報をウィニーネットワーク上から消し去ることは事実上、不可能です。TBCの個人情報漏洩でもこれが問題になりました。

2005年6月には三菱電機子会社の技術者のパソコンが「仁義なきキンタマ」というウイルスに感染し、原子力発電所の情報がウィニーネットワークに流出する事件が起きています。
>> 「ウィニーにも効果?神田明神のITおまもり」

ウィニーによる情報漏洩が続出した背景には2つの側面があります。

一つはマスコミの連日の報道でウィニーというP2Pソフトの存在を知り、興味本位から使い始めた人がウィルスに感染、情報漏洩してしまい悪循環になる側面です。もう一つは連日の報道から、情報漏洩が他にもないか探す行動で、どこかのハードディスクに眠っていた過去の漏洩情報があぶり出されます。つまり寝た子を起こすことになっています。

情報漏洩した企業が「ウィニーの特性上、内容を公表するとさらに漏洩が拡大する可能性がある」と発表する背景にはこういう理由があります。

会社側の対策をみていきましょう!
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