作業場所・開発環境
発注側の方で用意すべきものがあれば、それを契約書に書いておきます。システム開発用のテスト機等、システム開発が始まってから、お互いが相手が用意するだろうと考えていて、最初からからつまづくこともあります。どちらが用意するのか等を記載していきます。また、ITベンダーの開発チームが作業できる場所を発注側が用意します。システムテストでは発注側で作業することになりますので、作業場所の確保などが必要になります。会社の別業務の企業秘密が漏れないようにする等の事前準備が発生します。
個人情報の取り扱い
移行作業では本番データを使いますので、発注側の機密情報をITベンダー側が扱うケースが発生します。そこでITベンダーとは守秘義務を締結します。また、発注側企業が消費者向けの商品を販売しているような場合、ITベンダー側がシステムテスト段階で発注側が収集した個人情報にアクセスすることになります。発注側がしっかり管理をして外部に漏れないようにする必要があります。ITベンダーがテストデータや移行作業等で必要とする場合は発注側の作業場で必ず作業を行ない、決して外に持ち出さないなど契約書で取り決めをしておきます。
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知的財産権の取扱い
納入物の所有権については、契約上明記されていなくても当事者の暗黙の合意により移転すると解されています。しかし契約書には納入物の所有権の移転を明示的に規定しておくことが必要です。著作権法ではプログラム(複製物)の所有者は、そのプログラムを自ら利用するために必要な限度内で、複製・改変することができますのでITベンダーにことわらなくても将来的に修正することができます。
ただいくつか考慮すべき点があります。例えばITベンダーが従前から有していた特許権等を流用してシステム開発をした場合はITベンダーの特許権を侵害しない形での取り決めをします。
またパッケージなどを使用したシステムであれば、パッケージの著作権はパッケージメーカーにあります。著作権(複製権)や使用許諾をどうするか契約で取り決めをしておきます。
契約を締結すると、いよいよ長丁場のシステム開発が始まっていきます。
システム開発で発注者、ITベンダーお互いが信頼しあって開発が進められるように、契約書には発注側にとって大変な要件(検収など)も記載します。
これによってITベンダーには発注側が真剣にこのシステム開発に取り組む姿勢が伝わります。これが信頼熟成の第一歩です。
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